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広告 reading(読書) アンリ・バンコラン ジョン・ディクスン・カー 海外本格ミステリー(古典)

絞首台の謎  ジョン・ディクスン・カー H・B(3) 海外本格ミステリー小説(古典)

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ジョン・ディクスン・カー著  アンリ・バンコラン(Henri Bencolin) シリーズ(3)

舞台は霧も濃いロンドン!  

 本記事は アンリ・バンコランの長編の第3作め 〜  kindle(含Unlimited)版で読む

[A] ネタバレなしの 超ミニあらすじ (関連するGoogleマップなどは「あらすじ」の後辺りにあります。多少、文章は時間軸も含めアレンジしておりますが)

(舞台 : こちらの記事での順番になりますが、H・Bシリーズとしてはドイツ・ライン川からパリへと進み、今回はロンドンになっていてエジプトもからみます)

Googleマップのロンドン、ピカデリーサーカス周辺

①-1 11月の中頃pm5:30頃。ロンドンのウエスト・エンド(Wesy End)地区にある『ブリムストン・クラブ』には、いろんな人たちが集まっていた。70才の老人「マーディル大佐」から始まって内科医の「ダニエル・ピルグリム医師」、エジプト人の大富豪「ネザム・エル・ムルク」とその秘書「グラフィン」や従者の「マルセル・ジョイエ」や運転手「リチャード・スメイル」たち。クラブで働いているのはラウンジ付きのボーイ「ヴィクター」、バーを管理している「マーチン」そして「交換手」らがいつもながらの働きぶり。

①-2 その『ブリムストン・クラブ』には、かって『ロンドン警視庁(スコットランド・ヤード)の副総監』を勤めていた「ジョン・ランダーボーン卿」も1階の裏手にあるスイート(組部屋)に住んでいる。そこへ、パリから『銀仮面』という劇の初日を見るためにやってきていた「アンリ・バンコラン(H・B)」とその友人で本作の語り手「ジェフ・マール」がジョン卿を訪れラウンジ(休憩室)でお茶しながら雑談。ジョン卿の息子の戦友で、先日霧の濃いロンドンの夜に『美女と出会い、さまよい、あり得ないはずのある物の影(かげ)を見た』と主張する青年「ジョージ・ドーリングズ」の話と目の前のテーブルの上にある『珍しい模型』がそのテーマ。やがてH・Bはこのクラブの3階、ジェフは5階に部屋を取ることになる。

①-3 実は今から10年ほど前のある日パリの夜明けでは事件が起きていた。パリ警視庁は林の中で銃で撃たれたある男の死体を発見した。男は「ピエール・ド・ラヴァチュール」。友人とある女性をめぐって決闘したという。その友人「J・L・キーン」はやがてマルソー街の彼のアパートにやってきた警察に問い詰められるが「銃で撃ったが弾はあたらなかったと思う」などと泥酔状態でうろ覚え状態での答えのみ。2人の決闘を見届けるために現場にエジプト人「ネザム・エル・ムルク」がいたから彼が証言してくれるはずとキーンは答える。

①-4 やがて裁判が始まる。法廷では被告人席に座ったキーンに対し、ネザムは予想外の証言。そして『その問題の女性』もやがて登場・・・それが悲劇のはじまりだった。H・Bはその時所用で出かけていてリアルタイムでその事件の対応はできなかったと言う。ジェフはガールフレンド「シャロン・グレイ」のことをふと考えた・・・(なんだって! シャロンの隣の家の女性が誰だって・・・?)。その女こそ「ドーリングズ」が『偶然』出会って一緒にタクシーに乗って送ってきた女性。

①-5 一方、現在のロンドンでは不思議なことが次々と起こっていた。「ネザム」が交際している女性「コレット・ラヴェルヌ」に会うためのスメイルの運転でクラブを出るが・・・街中を猛スピードで走りぬけた後、ネザムは消えスメイルは『ブリムストン・クラブ』に運ばれてくる。。(じゃあ、どうやってその車は曲がって止まることができた? ぜったい何かある! 工事現場の灯[あか]りが入れ替わった?) 。後ろで別の車で追いかけていた4人の中の1人「ドーリングズ」は「助手席には誰も!」と言う。もう1人のジョン卿は「そんなバカな!」と叫ぶ。残りの2人H・Bとジェフは眉間にしわを寄せたまま宙をにらむ(どう、どうなってるの? )。

①-6 さらに『ブリムストン・クラブ』では交換手が「暗くて顔は見えなかったが背の高い手の白いやせた男」に、『ジャック・ケッチ(Jack Ketch)』と書かれた「名刺」と「伝言」をネザム宛に頼まれたという。彼の秘書「グラフィン」によれば「ネザム氏の机の上に、時々謎の物が知らぬ間に置かれ、小包も届き・・・」、それを知ってネザムは不安げになるという。その上「ヴァイン街署」の捜査担当警部「タルボット」は「ルイネーション街に・・・」という謎の匿名(とくめい)電話をうける(そんな街はこのロンドンにはないぞう!) 。

①-7 夜霧のロンドンの街中を現代の『ジャック・ケッチ』がうろつき出したのはまちがいなかった。歴史上実在する人物のニックネームともいうべき「ジャック・ケッチ(Jack Ketch、〜1686)」。彼は、ロンドンで絞首刑の刑吏(けいり)をやっていた『死刑執行人』その名を使った真犯人とは誰か? どうやってそれらをしているのか?。

①-8 今夜の話題に登場する女性たち・・・魅惑の美女「コレット・ラヴェルヌ」、ジェフ・マールのガールフレンドの「シャロン・グレイ」、コレット家の美人の女中「セルダン」。彼女たちの前にも不思議なことが起きつつあった。ネザムがいなくなったと知ったコレットは恐怖のあまり燐家のシャロンの家に入って(シャロンが名探偵と教えた)ジェフ・マールに来てもらって相談。H・Mに指示を受けていたジェフは答えをあいまいにして退出する。

①-9 シャロンの頭の中には「ある1件」があった。家にいる時、「コツ・コツ・コツ・・・」とノックの音(?)がする。今夜は女中の「セルダン」もお休みを取っている。(きっと、あの人が来たんだわ! クラブは出たというし)・・・ コレットが玄関のドアを開けると誰の姿も見えず。ふと下を見ると足元の敷居の上に『名刺』が。それをかがんで取ろうとしたコレット。その時! 彼女の背中を指でつつく感じ・・・「キャ〜〜〜!」

[B] 本作の主な登場人物  (書籍によっては、登場人物の名前に多少の違いがあることもあります)  (採番②と③と④と⑤を分類上必要なら使う)

(a) 10年前のある事件の関係者

②-1 背が高くて黒っぽい髪の毛にグレイの目。10年前、『ある女性』をめぐっての「ピエール・ド・ラヴァチュール」との決闘をした事と銃を使用したことは認めているが、その後警察に泥酔状態でマルソー街のアパートで発見された時、「ネザム・エル・ムルク」が立ち会っていたし自分の銃ではド・ラヴァチュールには当たらなかったと主張。しかし、裁判でネザムがそれらを全否定した結果、終身刑を宣告される。その後監房で首を吊って自殺した男 : J・L・キーン

②-2 『ある女性』をめぐってキーンと決闘して彼に銃で撃たれて、森の中で死体で発見されたとされている男 : ピエール・ド・ラヴァチュール

②-3 かってJ・L・キーンのことで法廷で証言した男。現在『ブリムストン・クラブ』に現れたエジプト人大富豪 : ネザム・エル・ムルク

②-4 背が高く痩せていて赤毛で目は茶色で腕輪をいくつもつけていて身体のラインが出る衣服を身につけた魅力的な女性。J・L・キーンの裁判時、法廷でネザムについてある証言をした女性。そして、あの霧の夜、ジョン卿の友人「ジョージ・ドーリングズ」を誘い出してタクシーを降りたまま先に帰った女性  : コレット・ラヴェルヌ

(b)  エジプト人大富豪「ネザム」の関係者

②-2 ネザムと長くつきあっている魅惑の美女(②-4と同一人物) : コレット・ラヴェルヌ

②-3 コレットの美人の女中  : セルダン

②-4 背の高いやせた、ネザムの男性秘書 : グラフィン中尉

②-5 その従者(お伴)、フランス人の男性 : マルセル・ジョイエ

②-6  コレット・ラブェルヌをめぐる男性の1人 : ピエール・ド・ラヴァチェール

②-7  ピエールの友人で事件に巻き込まれる(ペンネームを使っているらしい) : J・L・キーン

②-8 派手なグリーン、胴体の長い大型リムジン「(通称)ミネルヴァ・リムージン」のネザム専属の運転手  : リチャード・スメイル

(c) その他の『ブリムストン・クラブ』の関係者

②-60 休憩室付きのボーイ : ヴィクター

②-61 バーを管理していて、ゲストにカクテルを作って出す男 : マーチン

②-62 ある日やせた男がネザムあての伝言という形で「ジャック・ケッチと書かれた名刺」を受け取っていたクラブの交換手 : ?

②-63 ジェフがシャロン宅周辺でもコレットのことで出会った医師(内科医)、背が高くやせているが大柄な男 : ダニエル・ピルグリム

②-64 かって女性問題で『ブリムストン・クラブ』のある部屋でピストル自殺した若い男 : ライル卿

②-65 ジョン卿もよく知っているという病気持ちだがクラブ内ではあちこち動く70才の老人 :  マーディル大佐

②-67 ジョン卿も可愛がっている小人の使用人(子供ではない) : テディ

④-68 元ロンドン警視庁(スコットランド・ヤード)副総監で、ロンドンのピカデリーサーカスから歩いていける『ブリムストン・クラブ』に住む : ジョン・ランダーボーン卿

②-69 ある夜、ある女とタクシーを降りてから不思議な光景を見たと言う、ジョン卿の友人で若いが元気のなく青白いが頑強なオックスフォード大出の男  : ジョージ・ドーリングズ

(d)  ネザムの女性 コレット・ラヴェルヌの話に登場する人物(シャロンとジェフが聞いている)

②-50  名優 :  ドルリー・レーン (Drury Lane) (EQのバーナビー・ロス名義でのミステリー小説---例えば『Yの悲劇』の主人公で名探偵。)

②-51  誰かの話の途中ででくる女性 : ポッソンビー夫人

(e)  ジェフ・マールの関係者 (名前が不明な場合は?になっています)

③-1  ジェフと2人にとってはフランスの「バル・シュル・セーヌ」での思い出も深い女性。南仏へ向かう途中ロンドンに立ち寄ったガールフレンド。ロンドンでは隣の家にコレットが住む家がある(という奇縁か?) : シャロン・グレイ

③-2 ジェフの召使い  : トーマス 

(y)  名刺を置いていく謎の男

③-80 最近、ネザム・エル・ムルクに「10年前の事件で脅すようなことを書いた手紙」とジョン卿の住む『ブリムストン・クラブ』に直接現れ、交換手に「ジャック・ケッチ(次の③-81の実在の人物の名をかたっている)」と名前が書かれた名刺を置いていき、ネザムの親しい女性コレット・ラヴェルヌの自宅玄関にも名刺を置いていった背の高い男  : ?

③-81 歴史上の実在の人物で『死刑執行人』と呼ばれた『絞首刑の刑吏(けいり)』の男 : 「ジャック・ケッチ(Jack Ketch、?〜1686)」

(参考 ③-83) ジャックとしては有名な『切り裂きジャック』は本作には出ていません。1888年、ロンドンのホワイトチャペル周辺で起きた連続殺人事件の犯人とされている。当時捜査したのは『スコットランドヤード(ロンドン警視庁)』。別名「ホワイトチャペルの殺人鬼(Whitechapel Murderer)」や「レザー・エプロン(Leather Apron、革のエプロン)」 :  ジャック・ザ・リッパー(Jack the Ripper)

(z)  本件の捜査関係者

④-96 事件を担当するようかっての副総監ジョン卿に指示されるが基本この事件ではH・Bに教えを乞(こ)い指示に従う。電話で聞いた『ルイネーション街』という言葉が気にかかる所轄署「ヴァイン街署」の捜査担当警部 : タルボット

④-97 タルボットの腹心ともいうべき事件担当の部長刑事。だがある時ある場所で銃で撃たれる : ブロンスン

④-98 本作のワトソン役(語り部、シリーズ中の『四つの兇器』を除く)でありH・Bの友人の息子であるアメリカ青年 : ジェフ・マール 

④-99 主にフランスのパリで活躍する、大事な捜査の時は『(例の)タキシード(燕尾服、夜会服)と外套とシルクハット』を着る予審判事で名探偵の男 :  H・B(アンリ・バンコラン)

[C] 本作について (採番は⑥〜)

⑥-1 原題は「The Lost Gallows(1931)」。ちなみに、英単語「Gallows」は「絞首台、絞首刑、十三階段」などの意味です。(最後sがつきます。つかないと「(古語)脅す」という別の意味になりますが、作家は意外と2つの意味をかけたのかも・・・)。

⑥-2 概して、ジョン・ディクスン・カー(John Dickson Carr、別名義カーター・ディクスン Carter Dickson)の作風としては、「犯人は誰か?」だけでなく、『どうやってそれを成し遂げたか?』というところが、作品によって顕著な場合があります。

⑥-3a 「絞首台の謎(The Lost Gallows) Kindle版」、ジョン・ディクスン・カー(John Dickson Carr)著 (グーテンベルク21 井上一夫訳)。ちなみに、「グーテンベルク21」はデジタル書店。

⑥-3b 「絞首台の謎(The Lost Gallows) (新訳版) 2017/10/29」、ジョン・ディクスン・カー(John Dickson Carr)著 (創元推理文庫 和爾桃子訳)。

[D] H・B (アンリ・バンコラン Henri Bencolin)予審判事  シリーズ (採番は⑦〜)

アンリ・バンコランと言えばパリ周辺が舞台。ただし、『絞首台の謎』は英国が舞台、『髑髏城』はドイツが舞台となっている。『四つの凶器』では、パリの予審判事も引退している。

⑦-1 長編5作は1930年の「夜歩く(It Walks by Night)』から始まって次のとおり。

⑦-2 「絞首台の謎(The Lost Gallows)、1931』。(本作)

⑦-3 「髑髏城(Castle Skull)、1931』。(前々回の記事分)

⑦-4 「蠟人形館の殺人(The Corpse in the Waxworks)、1932』。(前回の記事分)

⑦-5 「四つの凶器(The Four False Weapons)、1937』。

[D] フェル博士と H・M(ヘンリー・メリヴェール)卿シリーズ    (採番は⑧)

⑦-1 ジョン・ディクスン・カー(John Dickson Carr)」の人気作品には、いろいろな主人公(探偵役)が登場します。「アンリ・バンコラン(Henri Bencolin)予審判事」、「ギディオン・フェル(Gideon Fell)博士」、「警視総監直属D3課長マーチ大佐(Colonel March)、主に短編で登場」などです。事件が不可能犯罪や密室の場合は、時に「誰がやったか?」よりも「どのようにしてそれらがなされたか?」に重点が置かれる場合があります。

⑦-2 一方、別名義のカーター・ディクスン(Carter Dickson)で発表した作品では、「通称H・Mこと、ヘンリー・メリヴェール卿(Sir Henry Merrivale)」が主に活躍し、その彼が登場する長編第1作目は「プレーグ・コートの殺人(The Plague Court Murders)、別名 : 黒死荘殺人事件」ですが、こちらも人気の主人公です。このHMが主人公の場合も、フェル博士登場と同様に、事件が不可能犯罪や密室の場合は、時に「誰がやったか?」よりも「どのようにしてそれらがなされたか?」に重点が置かれる場合があります。(現在、出版物の検索などでは、いずれもジョン・ディクスン・カー名義で検索できる)。

⑦-3 現在、このブログでは、『フェル博士』の作品の記事が一通り終わりまして、新しく『通称H・Mこと、ヘンリー・メリヴェール卿』シリーズとして、まず順に続けております。その時点で「Kindle (含むUnlimited)」の本が出ていないなどの事情があれば、記事の枠だけ作ってスキップして次の作品に進み、後でKindle版が出てきた場合は、順番は後になりますが、いつか記事にする予定ではいます。別途、その際に新訳本などがあればそちらを読むこともあるかもしれません。

⑦-4 『通称H・Mこと、ヘンリー・メリヴェール卿(出版社によっては多少の表記の違いがある)』の経歴を簡単に書きますと、イギリスのサセックス生まれ。巨体で『内科医といわれるが医師』と『法廷弁護士』の資格を持ちながらも、第一次大戦中は『英国陸軍諜報部』の所属、戦後は情報部の所属となっている。初出は本書『プレーグ・コートの殺人(The Plague Court Murders)』です。

(備忘録) HB(アンリ・バンコラン)(3) (フェル博士とH・M卿の合計は45作だったので、通算で48作目)。なお、前述のように、出版されたアンリ・バンコランシリーズとしては、まだ記事になっていないものが2作あります(この2作につきましては、今は記事としては未定ですので、別途ふれることにしました)。

ではまた!

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