超人気の劇作家と俳優が作り出した、幻影のシナリオを誰かが!
『虎の首』に続く、ツイスト博士シリーズの第6作が登場!
[A] 本作について (「Kindle (含むUnlimited)」で読む )
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本作の探偵役について
(概略1) フランスのミステリー作家「ポール・アルテ(Paul Halter)」の作。彼は、ジョン・ディクスン・カーはもちろんアガサ・クリスティもファンのようです。本書の探偵役は、著作中の2大探偵の1人「名探偵 アラン・ツイスト博士」です。
(概略2) 「アラン・ツイスト博士とロンドン警視庁 アーチボルト・ハースト警部」シリーズは、だいたい20世紀なかば頃の英国を舞台としています。したがって、経済状況やら国際情勢はもちろん、地名や建物、衣装、交通機関(『車、タクシー、船』などが増え、馬車はあるけど減りつつある)などはその時代に応じたものとなっています。
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[B] ネタバレなしの超ミニあらすじ〜多少、文章は時間軸も含めアレンジしております
(舞台は、ロンドンの劇作家 ゴードン・ミラー卿の屋敷など)
①-1 いつもはソーホーに近いナイトクラブでクラリネットを吹いていたが、その夜は病気なのか苦しむ下宿人(間借人)の男「デイヴィッド・コーエン」の部屋の前には、下宿屋の経営者「ミンデン夫妻」と「奇妙な格好をした3人の男 マーカス、シェルダン、ロス」の医師たちが集まっていた。やがて担架(たんか)でコーエンは運び出されようとしていた。その時、大柄なシェルダンとゆっくり進もうとしているロスとの間で、『担架の上で横たわっていたはずの、コーエンの身体』が消える! (え〜っ!? どこへ行ったんだぁ?)
①-2 いつものようにある日、煙草とビールのリズムの合間に「それは8/31の夜に起きたのです・・・消えたり現れたり・・・」と話は進む。50がらみの太った身体と赤ら顔『ロンドン警視庁 アーチボルト・ハースト警部』は「エドワード・ワトキンス巡査」の経験した『デイヴィッド・コーエンという男 と謎の3人の男たち』の話を『アラン・ツイスト博士』に相談していた。やがて発生する「ナイフによって刺された殺人事件」と「マジシャン スタンリー・コスミンスキー」のカラム話は事件を複雑にしていった。眠っているかのように静かにハースト警部の話を聞いていたツイスト博士は『消失と出現』に興味を持ったようだった。
①-3 11月のある金曜日の午後。 トラファルガー・スクエアに近いツイスト博士の家に客があった。その男は「ピーター・ムーア」だと名乗った。彼はある屋敷で秘書をしているのだが、主人の部屋で繰り広げられる2人の男の話がどうしても気になって、つい『鍵穴』からのぞいてしまったと言うのだ。見えた風景と音声を通じて想像を絶する話を聞いたムーアは、これから1週間ほど実家に用があって休暇を取るので何か起きる前に相談しにきたと言う。たまたま博士の家に来ていたハースト警部も一緒に聞くことになった。
Google マップ ロンドン トラファルガー・スクエア
①-4 「秘書 ピーター・ムーア」が言うには、卿の部屋で『殺意を感じさせるような』言い争いになったと言う。2人のうち、1人はムーアの雇い主「大ヒットミステリー脚本を連発している超高名な劇作家 ゴードン・ミラー卿」であり、もう1人はゴードン卿の作品にほとんど必ず出演して予想外のハプニングにも当意即妙で冷静に対処できる 素晴らしい俳優 40を超えてるが金髪で魅力的な 卿の相棒的存在 ドナルド・ランサム」。2人はいつも仲良く、また時に意見を戦わせる2人・・・それが、『殺人の計画』をたて、どっちの役をコインの裏表で決める話をしている。しかも誰かを罠にはめて陥(おとしい)れるトリックを含むらしい。そして『コインが宙を舞(ま)』って・・・。
①-5 そして・・・『コイン』が床に落ちて2人は覗き込む・・・そして言ってみれば「互いの心を読み合って『探偵スルース(注1)』のような「セリフの掛け合い芝居」も次第にヒートアップしてケーブルカーが山頂に着くように頂点に達した・・・それで2人が出てきそうなのであわてて私は部屋から離れました。「新しい2人のゲーム」・・・ゴードン卿の「亡き妻 アンナ」の海辺の事件など過去も関係しているのでしょうか? もし実際に事件が起きましたらお力をお貸し願えますか? 「秘書 ピーター・ムーア」は言って帰って行った。(注1『探偵スルース』については、[①-8参考 映画『スルース(Sleuth)』について] をご覧ください。)
①-6 部屋に残されたツイスト博士とハースト警部は秘書の話を聞いて驚いたばかりだった。「8/31夜のデイヴィッド・コーエンの話」に繋(つな)がるような事件の断片を感じ取ったからだった。コーエンにはかって交際していた「美しい黒髪の女性」がいたらしい・・・ゴードン卿には若い娘が一人いたのだった。
①-7 そういう状況下で、ツイスト博士とハースト警部の2人は、デイヴィッド・コーエンの事件の方の解決のため、『7つの仮説』を立ててみた。最後の7つ目だけはまだはっきりとはしていなかった。想定外のことも起こる時がある・・・。そして2人は事件の捜査開始を・・・その前に「パブ グリーンマン」に出かけることにした。そして、本当に想定外なことも2人を待ち受けていた。(注2 自動人形については [①-9 注2 [参考] (自動人形について)]も合わせてご覧ください)。
①-8 注1 [参考] (映画『スルース(Sleuth)』について) マイケル・ケインとジュード・ロウ共演のアメリカのミステリ映画(2007)。監督は『オリエント急行殺人事件 (2017年版) 監督兼ポワロ役』などでお馴染みの「ケネス・ブラナー(Kenneth Branagh)」。1972年版の再映画化。ストーリーは「ある初老の男と妻がいる。その彼の家にわざと招いた若い男優。2人の男同志の話し合いはやがて殺意をも感じさせる緊張と対立をよぶのだった・・・」。
①-9 注2 [参考] (自動人形について) エドガー・アラン・ポー(Edgar Allan Poe)のミステリー短編小説『メルツェルの将棋指し(Maelzel's Chess Player)』に出てくる自動人形(読んでいないのでちょっと不案内)。原題にある通り「将棋」と言っても「チェス」を指す『自動人形』のことで、当時、実際にアメリカ合衆国を巡業中に大騒ぎとなった。それは、あたかも人間のように動き考えるロボット・・・どういう仕掛けか(現在のAIロボットか)? ジョン・ディクスン・カーの『曲がった蝶番(The Crooked Hinge)』でも出てくる「からくり人形 または 自動人形」の話。本作では、この仕掛けについてツイスト博士とハースト警部の会話で、謎解きの中心に進むところで出てきます。
(本記事で使っている画像はPixabay、「いらすとや」さんから)
[C] 本作の登場人物 (名前が不明などの時は「?」も使います)
c-1 下宿屋の関係者
②-1-a どっちかというと節約家な、下宿屋の経営者(老夫婦) : ミンデン夫妻
(下宿屋の図面は本書にありますので、割愛します)
②-1-b (第一の被害者) ソーホーに近いナイトクラブでクラリネットを吹いていた下宿人(間借人)の青年 、ナイフでお腹を2ヶ所刺されていた) : デイヴィッド・コーエン
②-1-c ディヴィット・コーエンが最近付き合っていた若い女性(黒髪の美人で、数人は目撃しているが名前はわからないという) : ?
c-2 ゴードン・ミラー卿の関係者
②-30 ショービジネスの世界において大ヒット作間違いなしと言われるほどのミステリーの脚本家であり、芝居や映画のプロデューサーたちからひっぱりだこの男。豪華な屋敷に住む資産家の劇作家・脚本家 : ゴードン・ミラー卿
②-30 ゴードン卿の作品にほとんど必ず出演して予想外のハプニングにも当意即妙で冷静に対処できる 素晴らしい俳優 40を超えてるが金髪で魅力的な 卿の相棒的存在 : ドナルド・ランサム
②-32 ツイスト博士とハースト警部のところにやってきて謎の話をする、ゴードン卿の秘書 : ピーター・ムーア
②-31-1 ゴードン卿の亡くなっている妻(海水浴場の事故で水死した) : アンナ・ミラー(ミラー卿とは再婚、旧姓ラドクリフ)
②-31-1 アンナの最初の夫で、シーラの父親 : ロイ・フォレスト
②-31-2 アンナの娘、ゴードン卿の義理の娘 : シーラ・フォレスト
c-3 その他
②-31 素晴らしいと評判のマジシャン、奇術師 : スタンリー・コスミンスキー
②-32 スタンリーの弟 : ジョウセフ
c-4 謎の3人の医師
②-20a 謎の人物A(銀の握りのついたステッキを持っていた) : ドクター・マーカス?
②-20b 謎の人物B(大柄) : ドクター・シェルダン
②-20c 謎の人物C : ドクター・ロス
c-9 捜査陣 ( 今回は出ていなくても書いてあります)
②-90 ロンドン市警 巡査 : エドワード・ワトキンス
②-91 ミラー卿の亡き妻 アンナ・フォレスト水死事件を追う警部 : ジョン・スターリング警部
②-94 ロンドン警視庁の尾行担当刑事 : フレッド・ターナー
②-94-2 同 尾行担当 : (カメレオン)ことフイリップ・ウェルズ巡査
②-95-1 ブリグス警部と聞き込みを一緒にした巡査 : スミス
②-95-2 ハースト警部の部下たち : トーマスら
②-96 検死医 : ロースン
②-97 (ロンドン警視庁の警部 ハースト)。いつもなぜだか怪奇な難事件に遭遇してしまう巨体で50代の男。何かあるとツイストを頼る : アーチボルト・ハースト(Chief Inspector Archibald Hurst)
(ハースト警部の追記)『ロンドン警視庁 ハースト警部』は90kgあたりの巨体(作品により多少変化する)で、ちょっとした階段だとフーフーとかハァハァと息をする感じ。髪は少し薄くなっているようです。
②-98 (ロンドン警視庁の警部 ブリグス) 同、警部。昔の事件に詳しく資料を早く全て見つけるので、ハーストとツイストの信頼は厚い : ブリグス警部
②-99 (名探偵 アラン・ツイスト博士) 非常に長身でやせてるがよく食べる、愛想のいい上品そうな物腰の60才くらいの白髪混じりのくせ毛で 鼻眼鏡のブルー・グレーの目をもつ犯罪学者 : アラン・ツイスト博士(Dr. Alan Twist)。
(ツイスト博士の追記)かんたんな外見だけ描くと「ツイスト博士」は50才前後、長身そう躯(く)で、瞳はうすいブルーです。ややくせのある白髪まじりの髪、血色の良い顔に褐色(かっしょく、暗い黄赤色系、おおまかに茶色系の1つ)の立派な口ひげ。黒い絹の細紐を結んだ「鼻眼鏡」をかけている(本文中の記述による)。
[D] 出版情報 (採番は㊿から)
㊿-1「七番目の仮説(原題: 仏語 La Septième hypothèse 1991 ) Kindle版」ポール・アルテ(Paul Halter)著 (ハヤカワ・ミステリ 平岡敦訳)。ちなみに、英語原題は「The Seventh Hypothesis」となっています。
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(CL-1 ) 献辞
巻頭に「画家・・・マリオ・ヴェ・・・P・H」とあります。
(CL-2 ) 後書き、解説など
巻末に、平岡敦さんによる『訳者あとがき』があります。
(CL-3 ) シリーズのおおよその紹介
㊿-2 著者はほぼ全作で、著者自ら認める『ジョン・ディクスン・カー』大ファンのような本格ミステリー小説を書いてられますので、そういう意味で、ロンドン周辺を舞台にした英国ミステリー・ムードにフランス風味が追加されて・・・という感じです、初めての人でも楽しめます。
㊿-3 本作は、フランスの本格ミステリー作家「ポール・アルテ(Paul Halter)」氏の長編小説の中の「アラン・ツイスト博士シリーズ」の第6作めです(1990年)。
(CL-4) 以下はだいたい、前までの記事と同一内容でskipできます
㊿-4 日本語翻訳本は、電子書籍版(いわゆる、ここではkindle版)で発売されたものです。訳はアルテ氏のミステリーをほぼ1人で行っているかと推定される「平岡敦」氏が担当されています。
㊿-5 著者「ポール・アルテ(Paul Halter)」氏は、フランスの本格ミステリー作家の1人です。とりわけ「ジョン・ディクスン・カー(John Dickson Carr)[またはカーター・ディクスン(Carter Dicson)名義]」の大ファンであることで知られています。そこからそのような『犯人が誰かというだけではなく、密室殺人も含めた不可思議な状況下での事件(不可能犯罪と呼ばれていることもある)と謎解き』という作風となり、2002年の『第四の扉』以来、3作連続『本格ミステリ・ベスト10』の1位に選ばれるなど日本のミステリー・ランキングでも有名な、また、人気の作家の1人です。
㊿-6 登場する探偵役には、2大探偵として、(1)「名探偵 アラン・ツイスト博士」、(2) 「美術評論家のアマチュア名探偵 オーウェン・バーンズ」がいます。 そして多分、(3) 「シリーズ物以外」に登場する他の名探偵たちもいることでしょう。
㊿-7 ツイスト博士もオーウェン・バーンズも両者とも主にイギリスで活躍しています。というのは、ツイスト博士は20世紀なかば頃を時代背景として『ロンドン警視庁 ハースト警部』と協力して事件解決にあたり、もう1人のオーウェン・バーンズも19世紀から20世紀へり移りかわりの頃を時代背景に、友人「アキレス・ストック」や『ロンドン警視庁 ウェデキンド警部』と共に事件の謎の解明にあたります。そこに著者のフランスの香りが加えられているだろうということで、もし2人をTVドラマ化したら、建物や衣装や車などはちがっているし、そういう状況下では、たとえ事件の謎や密室の構図は似てるとしても雰囲気はちがって見えると思われます。
今回はここまでで、続きは次回です!(別の作品になります)
ではまた!