和音の響き 〜 副和音のコード進行 (2)
[A] 今回は[ ツー・ファイヴ (II → V)]に続く 副和音のコード進行(2)
① 前回は副和音のコード進行の1つめ[ ツー・ファイヴ 〜 II → V]をやりました。使いました資料の画像のみ、この記事の最後の方に[見出しのB52]として付けておきます。
YouTube動画タイトル : 「 実践 コード進行 初級編 コード進行 副和音その他 ( Logic) 143」
(2)動画のBGMは、Logic Pro Xでの音源での和音のところ以外は、SoundCloudへすでにアップしてYouTube動画にもしている曲「JC41 」を MP3で使用しています。「YouTube オーディオ ライブラリー」は今回使用していません。
③-1 今回は、副和音のコード進行の2つめ以降ということで、[基本の表]に戻って「主要3和音(3コード)」と「副和音」をみると、以下の表になっていました。([基本の表]といっても、このサイトでかってに作成したものですが)
③-2 これらは3和音の表になっていますが、前回「V→V7 」が出てきたので、4和音も一応基本のものとしてここで3和音と並べて載せておきます(実際は4和音はまだここではやっていませんが)。
(a) Cメジャー(ハ長調)のダイアトニック・コード「3和音」:
[ I(C)- IIm(Dm) - IIIm(Em) - IV(F) - V(G) - VIm(Am) - VIIm♭5(Bm♭5) ]
(b) Cメジャーのダイアトニック・コード「4和音」:
[ IM7(CM7) - IIm7(Dm7) IIIm7(Em7) - IVM7(FM7) - V7(G7) - VIm7(Am7) - VIIm7♭5(Bm7♭5) ]
(b-2) よって、基本の表に、 Cメジャーのダイアトニック・コード「4和音」を加えると、下の表のようになります。細かいですが、コードの読み方も入れておきました。
④-1 前回したのは、 [ II→V ツー・ファイヴ ]でした。これは、代表的な「II」の使い方で、「(ドミナント・モーションと同じくらいの)強い進行の感じ」がある「強進行」と呼ばれていて、他との違いが明白なので特別に「この進行をツー・ファイヴと呼ぶ」というところまででした。
④-2 そして、 同じ[ II→V ツー・ファイヴ ]でも、I-IV-V7 (C-F-G7) から、I-[IIm7]-V7 ( C-[Dm7]-G7)と「IIm7(CメジャーではDm7、Sの代理)」を使った進行はポップスでよく用いられるているそうです。
④-3 [ II→V ツー・ファイヴ ]ということで、今回はその他の副和音のコード進行となりました。
㊺ 参考文献はいつものとおり、以下の3冊です。コード進行は特に難しくてお世話になっております。本当にありがとうございます。
(a) 「プロの曲作りが分かる本 (CD付き) (マニュアル・オブ・エラーズ 著 (株)リットーミュージック )」執筆されているのは主に、谷口尚久、Nagie、山口優、蒲池愛、藤本功一、永田太郎、の各氏。
(b) 「大人のためのコードのしくみ」(五代香蘭 著 (株)ケイ・エム・ピー )
(c) 「大人のための作曲入門本(CD付き)」(友寄隆哉 著 (株)リットーミュージック )
[B] 以下、順不動でまとめて 〜 副和音のコード進行(2)
⑤-1-a [IV→II の進行] は、おだやかで弱い進行も、IVが続くところで変化できるという特性があります。
⑤-1-b ただし、 [主要和音とその代理をする副和音の連結の形]なので、[IV→II の進行] の進行方向は、[元のコード→代理コード]という方向のみで、逆の[代理→元]は基本的にしない。したがって、IV→IIはよくて、II→IVは基本的によくないということになります。
⑤-1-c いつものように和音コードとCメジャーを使うと、[I-IV-V7 (C-F-G7) ]からの変化は[I-IV-IIm7-V7 (C→F→Dm7→G7)(T-S-Sの代理-D)]となり、[IV→II、F→Dm、S→SとSの代理]となっています。
⑤-2a その他の[IIの進行先]としては、[II→VI] または[II→VII]にも進行可能となっています。
⑤-2b-1 [II→VI]すなわち、[ IIm7>VIm7 (Dm7→Am7 ) (Sの代理→Tの代理)]と
⑤-2b-2 [II→VII]すなわち、[ IIm7>VIIm7♭5 (Dm7→Bm7♭5 )(Sの代理→Dの代理) ]です。
偽終始(ぎしゅうし) ドミナントからトニック以外のコードに進行
⑦-1 [I-IV-V7-I (C-F-G7-C) ]や[I-VIm7-V7-I(C-Am7-Dm7-G7-C)]などの、[ドミナントのV7→トニックのI]という[V7→I]形から、トニックの「I」以外のコードに進行すると、ドミナントが続いていく感じで終止されないので、『偽終始(ぎしゅうし)』と言われています。
⑦-1a ここでは、「トニックのI」の代わりに「III」や「VI」を使います。したがって形としては[V7→IIIm7]または[V7→VIm7]という進行が考えられます。[V7-IIIm-IV→V7-I]や[V7-VIm7-IIm7-V7-I(G7→Am7→Dm7→G7→C)]となります。
⑧-1 [III-VI]と[VI-III]
⑧-2 代理コード同士、例えばトニック「I」の代理コード「III」と「VI」をつなげたり、その順序を入れ替えたりしたもの、「IIIm7→VIm7」や[VIm7→IIIm7]も使うことが可能です。
⑨-1 [VII-III]の進行
⑨-2 ドミナントの代理「VII」は[V7-I]の代わりに使い、この時、同時にトニックの方も代理の[III]を使う。
⑨-3 つまり、[VIIm7♭5→I]からさらに[VIIm7♭5→IIIm7]となる。Cメジャーでは、[G7→C]から[Bm7♭5→Em7]となる。
⑨-4 さらに、[VIIの前にIVを置くと、いっそうスムーズな展開になる]。つまり[I-IV-VIIm7♭5-IIIm7-VIm7(C→F→Bm7♭5→Em7→Am7)]となります。
[B53] 前回の復習分 [ ツー・ファイヴ 〜 II → V]
これらの画像を使って、動画に展開してYouTube動画にしました。
[B] 副和音のコード進行へ行く前に 〜 主要3和音(『3コード』)のコード進行から 前回の復習みたいなもの
コード進行の基本中の基本は、[I→IV、I→V]で、これらは主要3和音(『3コード』)、つまり、『トニック・コード(T)』、『ドミナント・コード(D)』、『サブドミナント・コード(S)』という「3和音」からできていました。(この記事ではCメジャーの音階を前提とし、とりあえず「4和音」や「シックス・コード」などは省略していました。)
その主要3和音(『3コード』)での、代表的なコード進行は、トニック・ドミナント・サブドミナントの特性から次の3つに集約されます(かっこ内はCメジャーの音階での対応するコード)。[ I(C)→ V7(G7)→I] 、 [ I(C) → IV(F) → V7(G7)→ I ]、 [ I(C) → IV(F) → I ]。
その中でも、不安定なドミナントはトニックへ進行して安定することを『ドミナント・モーション』といい、このモーションが「段落や曲の終わり」で使われれば『ドミナント終止』と言い、似たような言葉で、本来ドミナントを導いてドミナント終止をより強固なものにするのがサブドミナントの特性ですが、トニックと似て明るい響きのサブドミナントが直接トニックに進んで終わることを『サブドミナント終止』といいます(サブドミナントはトニックにもドミナントにも進むことが可能でした)。
前回やったように、『副和音』は、その「主要3和音」のトニック、サブドミナント、ドミナントのいずれかのコードと響きが近いゆえに、似た機能を持っているので『主要和音の代わり』として使える和音のことを言います。すなわち、音階上にできる7つのダイアトニック・コードのうち、トニック(I)、ドミナント(V)、サブドミナント(IV)を除いた4つのコードを『副和音』といいます。
それらは和音記号とCメジャー上のコードで表せば、[ II III VIがマイナー・コード ]で、[VII がディミニッシュ・コード(マイナー・フラット・ファイブ・コード)]とされていますので、[ IIm Dm] 、[IIIm Em]、[VIm Am]と[VIIm♭5 Bm♭5]となります。
前回の『まとめ』をもう一度載せますと、以下のとおりでした。
[トニックの代理(IIIとVIなので)]としては、「 Iの C(ド、ミ、ソ)」→「IIIm Em (ミ、ソ、シ) 」もしくは「VIm Am (ラ、ド、ミ) 」です。
[サブドミナントの代理(IIなので)]としては、「 IVの F(ファ、ラ、ド)」→「IImの Dm (レ、ファ、ラ) 」は(「ファ」、「ラ」)です
[ドミナントの代理(VIIなので)]としては、「 Vの G7(ソ、シ、レ、ファ)」→「VIIm♭5 Bm♭5 (シ、レ、ファ) 」となります。
[C52] 副和音でのコード進行 〜 「II と V」 (ツー・ファイヴ)
代理コードの役割としての副和音を使ったコード進行で代表的なものとして「II - V」があります。
主要3和音(『3コード』)での代表的なコード進行は、「I→IV→V」で、Vの代わりにV7を用いると、『ドミナントはトニックに進みたいという特性』を、7度をさらに加えて『その特性をより強くする』でしたので、[ I→IV→V(CメジャーではC→F→G) ] ->>>[ I→IV→V7(C→F→G7) ]として、さらに『サブドミナントのIVの代理のII』を使って、この『IV』を「II(IIm、Dm)」に変えます。この時同時に、この3和音の[IIm]に7度を加えて[IIm7]にして、その特性をより強くします。(IIm7は4和音のサブドミナント・コードの時に出てきます。)
すると、[ I→『IV』→V7(C→F→G7) ]が [ I→『 IIm7 』→ V7 ]となります。 [ I→ IIm7→ V7 ]は、[CメジャーではC→Dm→G7 ]となります。 従って、基本の[I→IV→V(CメジャーではC→F→G7) ]から、[ I→ IIm7 → V7 (C→Dm→G7)]と変化しました。
そして、その『I→ IIm7→ V7、(CメジャーではC→Dm→G7)』の中の、「IIm7→ V7」の部分だけに注意して見てみれば、ルートが4度上(または5度下)へと進んでいるのですが、これを『(ドミナント・モーションと同様の強さを感じるので)強進行』として、特に『ツー・ファイヴ』と呼びます。
[ I→『IV』→V7(C→F→G7) ]から代理コード「IIm7」を用いて[ I→ IIm7 → V7 (CメジャーではC→Dm→G7)]となりました。
代理コード「IIm7」を用いた強進行『ツー・ファイヴ』は、音階上の「II→V」へ進むことから、このコード進行を特にそう呼んでいて楽曲上も非常によく使われているとされています。
今回は以上です。では!
[ZZ] 自分用の忘備録(復習分)分です。必要ない方はこの前までで記事は終わりです。
⑦-1 IIIはIと似たコードで、トニックの代理として使えます。
⑦-2 どういうことかと言うと、「Cメジャー(ハ長調)」で見れば、「 Iの C(ド、ミ、ソ)」と「IIIm Em (ミ、ソ、シ) 」は(「ミ」、「ソ」)という2つの共通音を持つから近い範疇(はんちゅう)と言えます。
[Dの2] トニック(I)の代理をする「VI」
⑧-1 もう1つトニック(I)の代理をするものがあって、それは、VIです。
⑧-2 同じく「Cメジャー(ハ長調)」で見れば、「 Iの C(ド、ミ、ソ)」と「VIm Am (ラ、ド、ミ) 」は(「ド」、「ミ」)という2つの共通音を持つから、近い範疇(はんちゅう)と言えます。
[E] サブドミナント(IV)の代理をする「II」
⑨-1 IIはIVと似たコードで、サブドミナントの代理として使えます。
⑨-2 「Cメジャー(ハ長調)」上の「 IVの F(ファ、ラ、ド)」と「IImの Dm (レ、ファ、ラ) 」は(「ファ」、「ラ」)という2つの共通音を持つから、近い範疇(はんちゅう)と言えます。
[F] ドミナント(V)の代理をする「VII」
⑩-1 VIIはVと似たコードで、ドミナントの代理として使えます。
⑩-2 同じく「Cメジャー(ハ長調)」で見れば、「 Vの G7(ソ、シ、レ、ファ)」と「VIIm♭5 Bm♭5 (シ、レ、ファ) 」は(ルートの「ソ」をのぞいた)形という3つの共通音を持つ、というより、ほぼ同じなので近い範疇(はんちゅう)と言えます。
[G] まとめ
⑪-1 まとめますと、
⑪-2 [トニックの代理]としては、「 Iの C(ド、ミ、ソ)」→「IIIm Em (ミ、ソ、シ) 」もしくは「VIm Am (ラ、ド、ミ) 」です。
⑪-3 [サブドミナントの代理]としては、「 IVの F(ファ、ラ、ド)」→「IImの Dm (レ、ファ、ラ) 」は(「ファ」、「ラ」)です
⑪-4 [ドミナントの代理]としては、「 Vの G7(ソ、シ、レ、ファ)」と「VIIm♭5 Bm♭5 (シ、レ、ファ) 」となります。
⑪-5 それらを、前述の一覧表に書き加えますと、下記のようになりました。
今回は以上です。では!