「巌(いわお)の剣」 と 『五輪書』
そして、書画など 「静寂の中の、一点集中力」
[A] 本書について(概略) ([C] 出版情報は一番下あたり)
(画像はPixabayと「いらすとや」さんから)
①-1 本書は、『巖流島(がんりゅうじま)の決闘』などでとても人気な「二天一流(にてんいちりゅう)」とも言われる『二刀流』流祖の「宮本武蔵(みやもと・むさし)」を、作家「吉川英治(よしかわ・えいじ)」氏が描く痛快時代劇であり、2本の剣の達人であるばかりではなく『心の置き方(剣禅一如の世界)』や『芸術としての書画の大家』の一面を併せ持ち、『五輪書(ごりんしょ)』という剣術の奥義をまとめた兵法書も残した武芸の達人の物語を描くエンターテインメント小説でもあります(本書は大ベストセラーになっている本です)。
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①-2 作家の吉川英治さんは神奈川県横浜市の生まれ。宮本武蔵の他に『鳴門秘帖(なるとひちょう) 』その他があって、多く映画・TVドラマ化されている。本作はその後調べらた史実とは若干の違いがある小説として大変読みやすく文庫本で全8冊というコンパクトな内容からも通勤・通学の読書本の1つともなっております。
[B] どういう内容? 〜 剣禅一如(けんぜん・いちにょ)の世界
②-1 幼馴染(おさななじみ)の又八(またはち)と武蔵が臨んだ「関ヶ原の戦い」。そのさ中に西軍に加わっていたがために敗走する兵士たちの間でうずくまって身を隠しているところから物語は始まる。武蔵はどうしようかと今後を憂(うれ)いつつ、又八の母「お杉」と彼の許婚(いいなづけ)の「お通(おつう)」のことを思い出していた(そうだ・・・「たけぞう」だった自分に戻って故郷に帰ろう! 怪我をしていた友に声をかけた「又八、いくぞ!」 )
②-2 だが、途中寄った民家に残ることにしたけがをしていた又八を残して故郷『作州宮本村』へ1人で帰ってきたのだった。
(注 武蔵の出生地については諸説あります)
(a)諸説(そのうち、2つの有名な説は、「岡山県美作(みまさか)市辺り」と「(播磨生誕説) 兵庫県高砂市米田町あたり)」です。他にもあるらしいです。出生年(1584年)からすれば、戦国時代の関ヶ原の合戦(1600年)の前であれば、現在と違って記録も一次資料も・・・なのかも?) 。 下記に2つのマップを貼っておきます。
(b)本作で吉川英治さんは『作州宮本村(作州讃甘村〜さのもむら、岡山県英田郡大原町宮本) マップ(i)』を採用されているようです。兵庫県高砂市の方はマップ(ii)をご覧ください。
(i) Google マップ (美作説 : 宮本武蔵生家跡 岡山県美作市宮本あたり)
(ii) Google マップ (播磨生誕説 : 宮本武蔵生誕地碑 兵庫県高砂市米田町あたり)
②-2 その故郷で、武蔵は「又八の許嫁であった お通(おつう)」や「和尚 沢庵(たくあん)」らの温かい出迎えを受けます。彼らは武蔵の今後の人生に少なからず影響を及ぼします。「お通」は又八の心変わりを知って段々と武蔵に惹かれていきます。和尚は殺気を放つ武蔵の剣の道に禅の心を説きます。『剣禅一如(けんぜん・いちにょ)』、それは「巌(いわお)の剣」とも言われる力みなぎる剣法に「剣の道も禅も究極に学ぶ境地は同じ」を吹き込んでいくのだった・・・(『剣禅一如(けんぜん・いちにょ)』・・・出典は沢庵和尚の『不動智神妙録』だそうです)。
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②-3 沢庵和尚の教えによって目覚めた武蔵は、厳しく修行して・・・やがて慶長十年正月九日京都・蓮台寺野で「 吉岡清十郎」との決戦、そして、幾たびかの戦いの後、慶長十七年(1612年)瀬戸内海の小島『巌流島(がんりゅうじま)』で『秘剣 燕返し(つばめがえし)』を持つ「佐々木小次郎」との戦いに向かっていきます。武蔵は「小舟の艪(ろ)」を数時間削(けず)って、長い指物『物干し竿(ものほしざお)』の男「佐々木小次郎」にいかに勝つかの戦略を練(ね)る。それからゆっくりと小舟を漕いで待ち合わせの島に向かった・・・やがて、大声が聞こえた! 『待ちかねたぞ 武蔵!』そう言って小次郎は「刀の鞘(さや)」をポイと投げ捨てる・・・それを見ていた武蔵・・・厳しい顔で・・・。
Google マップ 『巌流島案内図』〜「巌流島」のモデルと見られる 「船島」 山口県下関市彦島
(注) この巌流島での決闘も諸説あるようで、小説では小次郎が先に来ていて約3時間待たせて焦らし作戦)のところも、 先に武蔵が来ていて島を検分(けんぶん)していた。それから小次郎が小舟でやってくるのを見計らって隠れていた。弟子たちもいたとかいなかったとか、いろいろある。この時武蔵は「二天一流」ではなく、小舟の艪(ろ)による長い木刀と短い木刀を持ち、長い木刀の最初の一撃で佐々木を倒したと言われている(もしくは一旦気絶させたとも)。
(注) 「佐々木小次郎(ささき・こじろう)」は『巖流とも名乗った(諸説あり)』実在の剣豪らしいが詳細は不明なところも多いらしい。秘剣「燕返し(つばめがえし)」をもつが、この決闘当時29才くらいの模様。三尺余り(90cm以上)の普通より長めの刀『通称 ものほしざお(物干し竿) 備前長船長光』を使用したという。(wikiなどネットの情報による)
(注) この「備前長船長光」の刀は画像としてネットで見ることができます(小次郎が使ったものと同じかどうかはわかりません)。長かったので「ものほしざお(物干し竿)」・・・う〜ん、どうでしょう? 秘剣「燕返し(つばめがえし)」もYouTubeなどで見れます(コマ、けん玉でも同名技があるようです)。
武蔵の書画の世界とは?
③-1 書画・小細工などを以(も)って日々を・・・と言われているように、現存する作品は晩年の作がほとんどと言われていますが、水墨画として美術館などに残っているものは中々素敵でありまして、私の個人的好みでは下記の「枯木鳴鵙(枯木にもず)」がいいかなと感じました。この実物は『和泉市久保惣記念美術館』にあるようです(現在の状況については、休館日なども併せて当該美術館に事前にご確認していただいた方が良いかと思います)。
Google マップ 『和泉市久保惣記念美術館』〒594-1156 大阪府和泉市内田町3丁目6-57 (近くには「ららぽーと和泉」があります)
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全米ビジネスマンの間でも大人気となった『五輪書』とは?
『五輪書』について超簡単に書いておきます
⑤-1 1645年(正保2年)頃、熊本市近郊の金峰山にある霊巌洞で執筆したという兵法書とされています。『五輪書』という名前の通り、「地・水・火・風・空」の巻物になっているイメージです。私自身はまだ読んだことがないので、興味のある方はぜひお読みください。ちなみに外国でベストセラーになったことから英文版も割と簡単に入手できます。
(画像は「いらすとや」さん)
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[C] 出版情報
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以上です。
では!