連続殺人事件に巻き込まれる、ロンドン郊外の静かな村
『狂人の部屋』に続く、ツイスト博士シリーズの第5作が登場!
[A] 本作について (「Kindle (含むUnlimited)」で読む )
本作の探偵役について
(概略1) フランスのミステリー作家「ポール・アルテ(Paul Halter)」の作。彼は、ジョン・ディクスン・カーはもちろんアガサ・クリスティもファンのようです。本書の探偵役は、著作中の2大探偵の1人「名探偵 アラン・ツイスト博士」です。
(概略2) 「アラン・ツイスト博士とロンドン警視庁 アーチボルト・ハースト警部」シリーズは、だいたい20世紀なかば頃の英国を舞台としています。したがって、経済状況やら国際情勢はもちろん、地名や建物、衣装、交通機関(『車、タクシー、船』などが増え、馬車はあるけど減りつつある)などはその時代に応じたものとなっています。
(概略3) 本作の流れとしては、「ロンドン郊外の静かな村とやってくる人たち」→「そこでは謎の盗難事件が続いて起きていた」→「やがて殺人事件」→そのころ、あちこちで「スーツケース」事件? → 村の「インド風味の『虎の首』を持つ退役軍人と4つの家の男女の関係」・・・2つの話が同時進行・・・です。本作の殺人の情景が苦手な方はそこを避けてお読みください。
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[B] ネタバレなしの超ミニあらすじ〜多少、文章は時間軸も含めアレンジしております
(舞台は、ロンドンを中心にして、いろいろ場所・・・)
①-1 ロンドンから約30kmに位置する郊外の静かな村『レドンナム村』。列車の駅がある中心部から200mほど穏やかな坂道を上がった村の東のはずれの「丘のふもと」辺りに行けば、そこには4軒の家があった。「ジョン・マグレガー少佐の家」、「エドモンド・ダンカンとメアリー夫妻の家」、「パーシヴァルとキャロルのフォーティスキュ夫妻の家」、そして先週亡くなったばかりのマンダリング夫人のお屋敷に入った「クライヴ・ファージョンと宝飾店主エスター・ダヴのカップル」である。
①-2 今、世間を騒がせているのは『スーツケース』だった。まずは時を置いて2つの死体が『レドンナム村』と『キングス・クロス駅』で見つかった。さらに3つめの事件は、海外で英気を養って帰ってきたばかりの「名探偵 アラン・ツイスト博士」と、その博士に相談したい事件があると待ち構えていた『ロンドン警視庁』の「アーチボルト・ハースト警部」と「ブリグス警部」たちが、いつものようにビールを飲みながら食事をしている場所で進行する(犯人はすぐ近くに座っていた人間か?!)。さらにのちになって『リヴァプール・ストリート駅』の近くの1人用アパートでも事件が起きた。「きゃ〜〜!」
(1 キングス・クロス駅)
Google マップ キングス・クロス駅(King's Cross station)
①-3 他方、『レドンナム村』の4つの家の1つ「退役軍人 ジョン・マグレガー少佐」の家では、都合があえば「トランプ」などに集まって少佐の話やお酒で楽しんでいる。そこには甥(おい)でプロテニス選手「ジム・マグレガー」などの姿もあった。参加するメンバーは残りの家の家族たちのうちの誰かが男女の組み合わせで出来上がっていた。キャロルの夫でロンドンで銀行の頭取を務める「パーシヴァル」は仕事が忙しくてほとんど姿を見せていなかった。
①-4 ある日、マグレガー少佐がかって手に入れたインド時代の『虎の首』と『魔神出現』の話を披露(披露)した時、それを聞いていた宝飾店の店主「エスター・ダヴ」の恋人、「クライヴ・ファージョン」は『あり得ない! 絶対トリックだ!』といつものように楽しそうに信じないと言ったことから、「では実際に!」と『みんなで見ている真ん中で 密室と化した 少佐の部屋』という状況下で『虎の首 を使った実験』が始まろうとしていた・・・そこで起きた想像を絶する不可能な殺人事件。
(このときの少佐の部屋割り図面は本書にありますので、下記の登場人物のところに書いてあるように割愛します)
①-5 一報を受けた「レンドナムの隣村の警察署長 アンソニー・ストーカー」は、これは大変と直感して、『ロンドン警視庁の警部 アーチボルト・ハースト』に連絡。不可能で不可思議な事件を惹きつけるという彼は、『昔の事件ならなんでも強い ブリグス警部』と共に、ツイスト博士にまたまたま〜た相談・・・。そんなおり、博士たち宛に『(事件の核心にせまることが書いてある)匿名の手紙』が届き、全く新しい展開によって博士の頭脳が強力に共振してレンドナムの村の捜査が進んで行った。
(本記事で使っている画像はPixabay、「いらすとや」さんから)
[C] [ 本作の登場人物 (名前が不明などの時は「?」も使います)
c-1 郊外のレドンナム村 の関係者
②-1-a 『虎の首』を持つ、退役軍人 : ジョン・マグレガー
(少佐の部屋割り図面は本書にありますので、割愛します)
②-1-b その甥(おい)でプロテニス選手、ボビー・スターとの対戦で足を痛めて叔父を訪ねてきた。お金には困っている : ジム・マグレガー
②-1-c そのガールフレンド モテるが浪費家のよう : エヴリン・マーシャル
c-2 リヴァプール・ストリート駅の近くのアパートの事件の関係者
②-20 被害者の1人、女性 : ジェニー・オルセン
②-21 近くで飲んでた、その恋人 : トム・ロス
②-22 同、その友人 : ジョニー・ホワイト
c-3 宝飾店の関係者
②-30 宝飾店の店主 30代半ばくらいの女性 : エスター・ダヴ
②-31 その恋人 : クライヴ・ファージョン
②-32 エスター似の宝石店の女性従業員、クライヴの元ガールフレンド : ドーラ
c-4 銀行の関係者
②-40 頭取 : パーシヴァル・フォーティスキュー
②-41 その妻 : キャロル
②-42 銀行員 : ブルース・ジェファーズ
c-5 教会の関係者
②-50 牧師 : エドモンド・ダンカン
②-51 その妻 : メアリー
c-6 被害者など
②-60a 1番目の被害者(村の住人ではないが、レンドナム駅で発見される) : ?(身元不明)
②-60b 2番目の被害者(キングズ・クロス駅で発見) : エリザベス・ブラウン
②-60c 3番目の被害者(?) : ? (Aツイスト博士の・・・)
②-60d リヴァプール・ストリート駅の近くのアパートで発見された被害者 : ジェニー・オルセン(c-2を転記した)
c-7 その他
②-70 キングス・クロス駅近くのバーのウエイトレス : エリザベス・ブラウン
②-71 ヴィクトリア駅で新聞を売る白髪の老人 : カールトン
②-72 レドンナムの盗難事件で被害にあった人々 : バートン夫人(帽子)など。
②-73 レドンナムの郵便局の人々 : 配達人、局長など。
②-74 レドンナムの4つの家の1つの持ち主だったが、すでに亡くなっている : マンダリング夫人(登場なし)
②-75 パーシヴァル・フォーのワーダー・ストリートのアパートの1人用部屋を借りてる女性(2番目の被害者エリザベス・ブラウンの友人) : ミス・キャサリン・アラン
②-80-1 レドンナム村の事件担当(捜査関係) : スミス巡査
②-80-2 レドンナムのハイ・ウィーカム病院の医師 : ブレット
②-80-3 レンドナムの隣村の警察署長 : アンソニー・ストーカー
c-9 捜査陣
②-94 ロンドン警視庁の尾行担当刑事 : フレッド・ターナー
②-94-2 同 尾行担当 : (カメレオン)ことフイリップ・ウェルズ巡査
②-95-1 ブリグス警部と聞き込みを一緒にした巡査 : スミス
②-95-2 ハースト警部の部下たち : トーマスら
②-96 検死医 : ロースン
②-97 ロンドン警視庁の警部。いつもなぜだか怪奇な難事件に遭遇してしまう巨体で50代の男。何かあるとツイストを頼る : アーチボルト・ハースト(Chief Inspector Archibald Hurst)
(ハースト警部の追記)『ロンドン警視庁 ハースト警部』は90kgあたりの巨体(作品により多少変化する)で、ちょっとした階段だとフーフーとかハァハァと息をする感じ。髪は少し薄くなっているようです。
②-98 同、警部。昔の事件に詳しく資料を早く全て見つけるので、ハーストとツイストの信頼は厚い : ブリグス警部
②-99 (名探偵) 非常に長身でやせてるがよく食べる、愛想のいい上品そうな物腰の60才くらいの白髪混じりのくせ毛で 鼻眼鏡のブルー・グレーの目をもつ犯罪学者 : アラン・ツイスト博士(Dr. Alan Twist)。
(ツイスト博士の追記)かんたんな外見だけ描くと「ツイスト博士」は50才前後、長身そう躯(く)で、瞳はうすいブルーです。ややくせのある白髪まじりの髪、血色の良い顔に褐色(かっしょく、暗い黄赤色系、おおまかに茶色系の1つ)の立派な口ひげ。黒い絹の細紐を結んだ「鼻眼鏡」をかけている(本文中の記述による)。
[D] 出版情報 (採番は㊿から)
㊿-1「虎の首(原題: 仏語La Tête du tigre 1991 ) Kindle版」ポール・アルテ(Paul Halter)著 (ハヤカワ・ミステリ 平岡敦訳)。ちなみに、英語原題は「The Tiger's Head」となっています。
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(CL-1 ) 献辞
巻頭に「アンジェルに・・・」とあります。
(CL-2 ) 後書き、解説など
巻末に、平岡敦さんによる『訳者あとがき』があります。
(CL-3 ) シリーズのおおよその紹介
㊿-2 著者はほぼ全作で、著者自ら認める『ジョン・ディクスン・カー』大ファンのような本格ミステリー小説を書いてられますので、そういう意味で、ロンドン周辺を舞台にした英国ミステリー・ムードにフランス風味が追加されて・・・という感じです、初めての人でも楽しめます。
㊿-3 本作は、フランスの本格ミステリー作家「ポール・アルテ(Paul Halter)」氏の長編小説の中の「アラン・ツイスト博士シリーズ」の第5作めです(1990年)。「第1作 第四の扉」、「第2作 死が招く」、「第10作 赤髯王の呪い」。「第4作 狂人の部屋」と続いてきました。(wikiなどのネットの情報による)
(CL-4) 以下はだいたい、前までの記事と同一内容でskipできます
㊿-4 日本語翻訳本は、電子書籍版(いわゆる、ここではkindle版)で発売されたものです。訳はアルテ氏のミステリーをほぼ1人で行っているかと推定される「平岡敦」氏が担当されています。
㊿-5 著者「ポール・アルテ(Paul Halter)」氏は、フランスの本格ミステリー作家の1人です。とりわけ「ジョン・ディクスン・カー(John Dickson Carr)[またはカーター・ディクスン(Carter Dicson)名義]」の大ファンであることで知られています。そこからそのような『犯人が誰かというだけではなく、密室殺人も含めた不可思議な状況下での事件(不可能犯罪と呼ばれていることもある)と謎解き』という作風となり、2002年の『第四の扉』以来、3作連続『本格ミステリ・ベスト10』の1位に選ばれるなど日本のミステリー・ランキングでも有名な、また、人気の作家の1人です。
㊿-6 登場する探偵役には、2大探偵として、(1)「名探偵 アラン・ツイスト博士」、(2) 「美術評論家のアマチュア名探偵 オーウェン・バーンズ」がいます。 そして多分、(3) 「シリーズ物以外」に登場する他の名探偵たちもいることでしょう。
㊿-7 ツイスト博士もオーウェン・バーンズも両者とも主にイギリスで活躍しています。というのは、ツイスト博士は20世紀なかば頃を時代背景として『ロンドン警視庁 ハースト警部』と協力して事件解決にあたり、もう1人のオーウェン・バーンズも19世紀から20世紀へり移りかわりの頃を時代背景に、友人「アキレス・ストック」や『ロンドン警視庁 ウェデキンド警部』と共に事件の謎の解明にあたります。そこに著者のフランスの香りが加えられているだろうということで、もし2人をTVドラマ化したら、建物や衣装や車などはちがっているし、そういう状況下では、たとえ事件の謎や密室の構図は似てるとしても雰囲気はちがって見えると思われます。
今回はここまでで、続きは次回です!(別の作品になります)
ではまた!