おすすめ本 ヨルガオ殺人事件 アンソニー・ホロヴィッツ著
[A] 「Kindle (含むUnlimited)」で読む 〜 超ミニあらすじ〜多少、文章は時間軸も含めアレンジしております
(舞台) 「ヨルガオ殺人事件」: [本作の舞台は、地中海のクレタ島から始まって、イギリスへと渡ります。そして、あるミステリー小説の中に・・・]
①-1 女が1人、スローモーションで大テントに向かって走ってきた。大声をあげて叫んでいる。ちょうど男性が結婚式のメインのスピーチを始めようとしていた時だった。新郎新婦も新しい門出(かどで)だから新婚旅行のプランを頭の中で繰り返していた。にっこりと微笑みあったその時に、けたたましいサイレンとともに数台のパトカーが彼らに向かって入ってきた。(えっ?)
①-2 本格ミステリー小説といえば、最後は名探偵による関係者をある場所に集めて謎解きと犯人を決定するのがだいたいの常であり、『名探偵のポワロ 』だって『名探偵のフェル博士』だってありとあらゆる名探偵たちが、そうしてきたのだ。したがって、この地にやってきて事件解決のため多大な献身をしてきた『その人』にもそうする時がきたのだ。その人とは、クレタ島で『ホテル・ポリュドロス』の共同経営者をしている元編集者の女性「スーザン(スー)・ライランド」であり、彼女は『ブランロウ・ホール』のラウンジに関係者を集めた。そこにはロック警視正も来ていて彼女の話が始まろうと知り、背筋をピーンと伸ばした。彼女はふっと、この事件のはじまりを思い出していた・・・。
①-3 パートナー「アンドレアス・パタキス」とここ『クレタ島』で小じんまりとしたホテル『ポリュドロス』の経営をはじめてからというもの、それはもうスーザンにとって毎日思いも寄らないことが続いてきた。それがまた楽しくもあるが人生の設計図からはちょっとはずれているなと感じる時もあった。かって編集者という本に囲まれてきた世界に生きてきた彼女の人生は、今や心地良い風と海と従業員たちに囲まれるが、しかし同時に「訪れたお客様」への対応を第一優先とする瞬時の判断を臨機応変にせねばならぬ世界へと変わってきていたのだった。
①-4 目が回るほどの忙しさと反比例するホテルの財政状況の悪化。しかし、そこへあの2人がやってきたのだった。ホテル『ブランロウ・ホール』のオーナー「ローレンス・トレハーン」とその妻「ポーリーン」。そして彼らはこの世で最もよくその本の内容と作者のことを把握しているであろう「その時の編集者、そう、あなた、スーザン!」に頼みごとがあってきたのだという。
①-5 その本とは『(アラン・コンウェイ作の「アティカス・ピュント」シリーズの1つ『愚行の代償』。(え〜〜! かんべんしてくださいよ〜! 私、前も彼の本が原因で死にかかったんだから〜! ぜったい、絶対いやです! 今ここクレタにいるのだって彼の・・・!) 。 「えっ? なんですって? 高額の報酬? (う〜ん)ぜひ、行かせてください! 」 。仕事を受けてからスーザンはアンドレアスを説得にかかった。「妹のケイティの家に泊めてもらうから〜! (それにあそこに保管している私の大好きなあの車、『MGBロードスター!』)」。
①-6 1冊の本。アラン・コンウェイのアティカス・ピュントシリーズ第3作『愚行の代償』・・・それは確かに私スーザンが編集して2人で細部まで詰めて出版された本。彼女はそれを改めて読もうとしてタバコに火をつけ、ちょっと煙(けむ)たくて目をしばたいて、近くのiPhoneの画面に反射するその本の『表紙』にある彼の影絵とエンボス加工されたタイトルをちらっと見た。ホテルの絵もある(え〜とと、letoH rewol・・・)。「登場人物」、「目次」、そして「献辞 フランクと某に・・・」へとページをめくっていった。この本のどこかに重大なヒントがあるって? 助けて! アンドレアス!
①-7 今ではその名を世界で知らぬ者などいないほど、その活躍が有名になった「名探偵 アティカス・ピュント」は、今回紹介所を通して来てもらった、すばらしい働きをする新しい女性秘書「マデレイ・ケイン」にとても満足していた。一を聞いて十を・・・どころか言わないでもすでにやってくれていて、それでもって『これでどうでしょうか?』と遠慮がちに意見を述べるのだった。
①-8 事件の起きた場所で最初に登場するのは、ハリウッド女優「メリッサ・ジェイムズ」夫妻の家に同居している料理人兼家政婦「フィリス・チャンドラー」とその息子「エリック」だった。夫「フランシス・ペンドルトン」は今夜『フィガロの結婚』観劇に行くようだが、メリッサは行かないと言っているらしかった。
①-9 さらに登場するのは映画プロデューサー。 (『ヒッチコックだって?』、『なんとかM?』。俺はこっちの映画を全部決めてきたんだ。後はあんた次第! あなたじゃなきゃ困るんだよ!)。「サイモン・コックス(本名: シーマニス・チャックス)」は拳を握りしめて怒りをなんとか抑(おさ)えようとしていた。
①-10 (ふと、スーザンは今のホテルに思いをはせた・・・)今ではホテル『ブランロウ・ホール』の経営は、スーザンを訪れたローレンスとポーリーン夫妻から、彼らの娘の1人「セシリー」とその夫「エイデン・マクニール」に移っていた。もう1人の彼らの娘「セシリーの姉のリサ」もまた経営に参加して忙しい日々を送っていたのだ。
①-11 そういえば、あの事件のあった日の前日。12号室を予約していた元校長先生「ジョージ・ソーンダーズ」と16号に入ることになっていた「フランク・パリス」の部屋の交換が、ごたごたなくスムーズに部屋の交換もエイデンの手腕によるものだった。みんなは心配していたが、ローレンスは「よくやってくれている。心配ない!」とベタほめだ。
①-12 ところがある日ある男が『そこ』を訪れて泊まった。しばらくして作家「アラン・コンウェイ」は『あるホテル』を舞台にした新作を発表した。素晴らしい美人ハリウッド女優と彼女を取り巻く個性豊かな、まるで生きている人をモデルにしたかのような、人たちの人生と謎の殺人事件があり、そしてついには名探偵とその有能な秘書がエドワード・ヘア主任警部とともに捜査を開始することになった。
①-13 そこまで読んで、スーザンは本から顔を上げた。そしてあの時のことを聞いてそのシーンを思い出した。そうだったわ・・・その時、結婚式のため大きなテントが準備され多くの招待客が集まり、午餐会が進行中だった。そこへ1人の女が・・・。
[B] 本作の主な登場人物 (書籍によっては、登場人物の名前に多少の違いがあります) (採番②と③)
(いつもの画像による人物一覧表は、今回はございません。そのかわり、小区分ごとに切っております)
[主人公の周辺の人たち]
②-1 (『カササギ殺人事件』から引き続き) クレタ島アイオス・ニコラオスの近くにあり、アムディ・ビーチもすぐ前の『ホテル・ポリュドロス』の共同経営者でギリシャ語も勉強中の元編集者 : スーザン(スー)・ライランド
②-2 そのパートナー : アンドレアス・パタキス
②-3 スーザンの妹 : ケイト(ケイティ)・リース
[ミステリー小説『アティカス・ピュント』シリーズ スーザンを除く関係者]
②-4 今回の『愚行の代償』を含め『アティカス・ピュント』シリーズを書いてきたが、この間亡くなった男性作家 : アラン・コンウェイ
②-5 その元妻 : メリッサ・ジョンソン
②-6 その元恋人 : ジェイムズ・テイラー
②-7 作家 : クレイグ・アンドリューズ
②-8 『オリオンブックス』の幹部 : マイケル・J・ビリー
②-9 サフォーク州フラムリンガムに住む、アラン・コンウェイの友人で彼の死体発見者となった、弁護士 : サジッド・カーン
[ホテル『ブランロウ・ホール』関係者]
②-10 ホテル『ブランロウ・ホール』の支配人 : セシリー(セス)・マクニール
②-11 その夫 : エイデン(エイド)
②-12 その娘 : ロクサーナ
②-13 ロクサーナの乳母 : エロイーズ・ラドマニ
②-14 セシリーの姉 : リサ・トレハーン :
②-15 財務関係を中心に経営に参加している、セシリーの姉 : リサ・トレハーン :
②-16 スーザンを妻と一緒に訪ねてきたポロシャツにパナマ帽の、 ホテル『ブランロウ・ホール』のオーナーで、セシリーの父(今は南仏のイェール近くに家を持っていて夫婦で住んでる) : ローレンス・トレハーン
②-17 ドレスにネックレス、そして素敵なクラッチバックを抱えサングラスをしてスーザンを夫とともに訪れた、その妻(セシリーの母) : ポーリーン
[その従業員たち]
[そのホテルで働いている/かって働いていた、従業員のひとたち]
②-18 夜間責任者 : デレク・エンディコット
②-19 ルーマニア人元従業員 : ステファン・コドレスク
②-20 ジムの元責任者 : ライオネル・コービー
②-21 元メイド : ナターシャ・メルク
②-22 清掃係の責任者 : ヘレン
②-23 従業員 : ラース
②-24 同 : インガ
[ホテルの主な宿泊客と事件の関係者]
②-25 8年ほど前(2008年6/15夜)に、ホテル『ブランロウ・ホール』の12号室に宿泊した広告業界では有名な男 : フランク・パリス
②-26 その妹 : ジョアン・ウィリアムズ
②-27 ジョアンの夫 : マーティン
②-28 12号室から16号室に変わった元中等学校の校長 : ジョージ・ソーンダーズ
②-29 <<捜査関係者>> 警視正(『カササギ殺人事件』では警視だった) : リチャード・ロック
(小計29人)
[名探偵アティカス・ピュント主人公のミステリー小説『愚行の代償』の登場人物、順不同]
⑳ 名探偵アティカス・ピュント
⑳-1 映画プロデューサー : サイモン・コックス(本名: シーマニス・チャックス)
⑳-2 ハーデンドルフ・ダイヤモンドの持ち主 : チャールズ・パージター
⑳-3 その妻 : エレイン
⑳-4 ヨルガオ館、支配人 : ランス・ガードナー
⑳-5 その妻 : モーリーン
⑳-6 同館、フロント係 : ナンシー・ミッチエル
⑳-7 その母親 : ブレンダ
⑳-8 その父親 : ビル
⑳-9 不動産開発業、実業家 : アルジャーノン(アルジー)・マーシュ
⑳-10 その姉でレナードの妻 : サマンサ(サム)・コリンズ
⑳-11 その夫 : レナード(レン)
⑳-12 彼らの叔母 : ジョイス・キャンピオン
⑳-13 その夫で、米国の大富豪 : ハーラン・グーディス
⑳-14 トーリーに住むハリウッド女優 : メリッサ・ジェイムズ
⑳-15 その夫 : フランシス・ペンドルトン
⑳-16 メリッサ家の料理人兼家政婦 : フィリス・チャンドラー
⑳-17 その息子で運転手兼執事 : エリック
⑳-18 ダイヤモンド盗難事件の担当警部補 : ギルバート
⑳-19 同、巡査部長 : ディッキンソン
⑳-20 ヨルガオ殺人事件の担当、主任警部 : エドワード・ヘア
⑳-21 名探偵アティカス・ピュントの新しい女性秘書 : マデレイ・ケイン
(小計21人)
(計50人)
[C] 本作について
⑤-1 原題は「Moonflower Murders」。
⑤-2a 本書自身の献辞は「エリック・・・(中略)・・・ジャン・・・(以下略)」。
⑤-2b 作中小説の『愚行の代償』の献辞は「フランクと・・・(以下略)」です。
⑤-2 「ヨルガオ(Moonflower)」つまり「夜顔」は「朝、昼、夕顔」とどうちがうのか?この「ヨルガオ」はその名のとおり夜間に開花するらしい。『源氏物語』でも有名な「夕顔(ユウガオ)」も同じく夕方から夜間にかけて開花するけれけれども(いわゆる、植物分類などでよく聞く「属とか、なになに科」という点から言うと)『ウリ科』に属するらしく(ちなみに、その果実をもとにしたのが、なんと『かんぴょう』だそうです)。それに対して、「ヨルガオ」は何科かと言うと「ヒルガオ科/ヨルガオ属」だそうです。ちなみに、『花言葉』は「はかない恋・夜・妖艶(ようえん)など」。植物のことは詳しくありません。
⑥ 「ヨルガオ殺人事件 (Moonflower Murders) 上下巻 Kindle版」、アンソニー・ホロヴィッツ(Anthony Horowitz)著 (創元推理文庫 上下巻 山田蘭訳) 。
[D] 著者 アンソニー・ホロヴィッツ(Anthony Horowitz)氏について
㊺-1 レンタルDVD(Blu-ray)の映画「オリエント急行殺人事件(Murder on the Orient Express)」(2017年、ケネス・ブラナー Kenneth Branagh主演・監督版)の本編の終わったあとの、「特典映像」の中にアンソニー自身が解説者として登場。「アガサ・クリスティ」の大ファンとわかる。
㊺-2 本作以外で、当ブログ『らるろま』でとりあげている、アンソニー・ホロヴィッツ氏の『本格ミステリー小説に関するレビュー記事』は、次の小説分です。
㊺-2-a 「カササギ殺人事件(原題 : Magpie Murders )」 (創元推理文庫 山田蘭訳)
㊺-2-b 「メインテーマは殺人(原題 : The Word Is Murder )」(創元推理文庫 山田蘭訳)
㊺-2-c 「シャーロック・ホームズ 絹の家(原題 : The House Of Silk ) (角川文庫 駒月雅子訳)
㊺-2-d 「モリアーティ(原題 : Moriarty )」 (角川文庫 駒月雅子訳)
㊺-2-e 「その裁きは死(原題 : The Sentence Is Death )」(東京創元社 山田蘭 訳)
㊺-3 その他の分野では、イアン・フレミング財団公式認定の最新の小説「007 逆襲のトリガー(Trigger Mortis)」(角川文庫、駒月雅子訳)。2020年秋公開予定の最新ボンド映画「ダニエル・クレイグ主演のNo Time To Die」の原作ではありません。また、近い将来、もう1冊といううわさもあります。
㊺-4 海外TVドラマシリーズ「刑事フォイル(原題: Foyle's War)」などの脚本担当としても知られている。
ではまた!