次々に起こる奇妙な事件、靴のあふれた密室、そして殺人事件、その謎の真相は?
『七番目の仮説』に続く、ツイスト博士シリーズの第8作が登場! (7作目は未邦訳)
[A] 本作について (「Kindle (含むUnlimited)」で読む )
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本作の探偵役について
本作は、ツイスト博士シリーズの第8作目です。第7作目は未翻訳のためです。当記事の一番下の 「(CL-5) 長編一覧からの抜粋リスト」をご覧ください。
[以下の(概略1)と(概略2)は、ツイスト博士シリーズの時、ほぼ同じ内容です。]
(概略1) フランスのミステリー作家「ポール・アルテ(Paul Halter)」の作。彼は、ジョン・ディクスン・カーはもちろんアガサ・クリスティもファンのようです。本書の探偵役は、著作中の2大探偵の1人「名探偵 アラン・ツイスト博士」です。彼の小説では、ロンドンその他のイギリスの各地のことがとても詳しく書いてあって驚きです。
(概略2) 「アラン・ツイスト博士とロンドン警視庁 アーチボルト・ハースト警部」シリーズは、だいたい20世紀なかば頃の英国を舞台としています。したがって、経済状況やら国際情勢はもちろん、地名や建物、衣装、交通機関(『車、タクシー、船』などが増え、馬車はあるけど減りつつある)などはその時代に応じたものとなっています。
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[B] ネタバレなしの超ミニあらすじ〜多少、文章は時間軸も含めアレンジしております
(舞台は、「ピッチフォード村」など)
①-1 パブ『バード・イン・ハンド』から、「長いコートと帽子の1人の人物」が出ていった・・・すぐに・・・その後を追って『杖を持ったやや年配の人物』が追いかけていった。2人はなおスピードを上げて走り出したが、やがて杖の人物は攻撃を受けたのか道の上に倒れ込んだ・・・万事休す!と思われたその時、そのパブから『もう1人』がものすごい勢いでついてきていた。心臓と肺は爆発しそうなほど熱つかったが、道に倒れている「杖の人物」の胸に赤いものがあるのを横目で見ながら、さらにスピードを上げ、ついにその「最初の人物」に飛びかかって倒した・・・そのうつ伏せになった人物の腕をキリキリと締め上げつつ、その頭を横にしてその顔を覗(のぞ)き込んだ・・・「あっ? お前は」!!!
①-2 1940年代のロンドンの4月の肌寒いある夜のこと(ロンドンの4月って中々肌寒いらしい)。ホルボーン・サーカス五叉路をハットン・ガーデンへ入ったら右手の細い通りを入ればあるパブ『イー・オールド・マイタ(ー)・タヴァ(ー)ン (Ye Olde Mitre, Holborn)』で彼は飲んでいた・・・。「今月の16日、午後9時に 鳥? 親指?」 ・・・パブの後の夜の公園での謎の美女との短い時間出来事が『人生に冒険を取り入れたい、そして 法学士でありながら法曹界に入らぬと決心した若者 ネヴィル・リチャードソン 』の頭の中でぐるぐると回っていた・・・どういうことだ? 「鳥」って? 「親指?」・・・そして『しゃがれ声の男』の接近にその美女に何か『危険の香り』を感じる! (そうだ! ツイスト博士に相談してみよう!)
①-3 いつものように「ツイスト博士」は『ロンドン警視庁』の「アーチボルト・ハースト警部」の部屋のところでパイプをふかしていた。そこへ「ジョン・パクストン」と言う男が相談にやってくる。彼が言うには「いま失業中・・・ある仕事を見つけたが・・・」。それは「指定のややこしいルート」をわざわざたどって体力と靴をめいっぱい減らすだけの『謎の封筒の運び屋』だと言う。不安になって彼はその封筒を開けてみたと言う。
①-4 ロンドンから少し離れた静かな小村『ピッチフォード村』。インドから戻り国防省(というよりも英国諜報部に勤めてスパイに詳しいが)引退してこの村にきた「 ダグラス・マカリスター」元大佐もいた。そして仲良しにしていてたいてい一緒に行動する男がいた。かって『ロンドン警視庁』の敏腕主任警部だった「チャールズ・ウィンズロウ」である。彼は難事件を解決してきたが今は器用な手を生かして模型作りが趣味。そんな2人は、ある夜、最近『古きロンドン友の会』で観に行った劇場で「宝石の盗難事件」が起こったと言う話を耳にする。「観に行ってるメンバーは毎回ほぼ同じではないか。何!? 2晩連続の宝石窃盗団ではないか・・・だと! 誰かスパイでも使ってこの村を調べてみんとな!」
①-5 そのウィンズロウの姪(めい)「ブライディ」は、新しく村にやってきた男「ネヴィル・リチャードソン(あの男だ!)」と仲良く慣れそうな予感がした。2人の話題は自然と、村の出口(牧場や野原に出る直前)にある今は誰も住んでいないがおかしな噂の絶えない「ルイス・フィディモントじいさん」のある家のことになった。彼は隣村の「エマとその兄で不動産開発業者を仕事にしているリチャード」の亡くなった叔父だと言う。鍵もしっかりかけられて誰も入れないはずだと言う。それが相続条件になっているらしい。ネヴィルは自分の役目も考えながら、ふっとこの間出会った謎の美女が気になった(ブライディ! 君はとても素敵だ! それにしても・・・なんだったんだろう? もう1人の美女! 『しゃがれ声の男』は?)
①-6 その頃、『ピッチフォード村』の隣村では、ドイツ語教師「ウォルター・リンチ」の「妻 エマ」は新聞を読もうとしている夫に向かって「ねえ? 最近、ピッチフォード村に行った?」と聞いた。でも、そんなことより大変だと言う顔をしてウォルターは「いや、新聞の見出しを見たか? パブの屋根裏部屋で、見つかった死体の脇に・・・靴(くつ)があって・・・」、「えっ?! 靴がいっぱいあったですって? (そう言えば、あの『ピッチフォード村』の入口の爺さんの家の中にも・・・」とエマは「靴のなぞ」がすごく気になってきた。その頃、ウォルターの同僚「真面目な歴史教師 アーサー・テイルフィールド」は、ロンドンで買い物をして遅く帰ってきた「妻 ローラ」を玄関で迎えたばかりだった。(ローラは思った「ちょっと息抜きよ・・・」)
①-7 次々に起こる奇妙な事件、いっぱいの靴がある密室しかし「そこの床」には埃(ちり、ほこり)しかない? 雨樋(あまとい)と木の棒? 「自称某国伯爵夫人の真珠のネックレス」とか「石油王令嬢のダイヤモンドのブローチ」など劇場で観劇のたびに起きる連続宝石盗難事件? 帽子と長いコートそして「しゃがれ声」の人物の正体は? なぜ1日かけて封筒を持っていって帰る? 男女の出会いとその意外な再会、部屋と靴の奇妙な配置と数は「宝物」の埋まってる場所? そしてとうとう起きた殺人事件! 真犯人は誰? どうやった? 果たしてツイスト博士とハースト警部の導き出した答えとは?
(本記事で使っている画像はPixabay、「いらすとや」さんから)
[C] 本作の登場人物 (名前が不明などの時は「?」も使います)
(舞台はロンドンのパブ、田舎の小村「ピッチフォード」など)
c-1 パブ「イー・オールド・マイター・タヴァーン」で魅力的な女性に出会った男
本作の冒頭に出てくるロンドン最古のパブと呼ばれる「イー・オールド・マイタ(ー)・タヴァ(ー)ン 」 (Ye Olde Mitre, Holborn)」は実在のパブのようです(ネットで検索するとちゃんと出てきます)。
Google マップ ロンドン最古のパブと呼ばれる「イー・オールド・マイタ(ー)・タヴァーン(yeoldemitreholborn) 1 Ely Court, Ely Place, EC1N 6SJ(ホルボーン・サーカス五叉路をハットン・ガーデンへ入ったら右手の細い通りを入ればあるらしい) 」
②-1 人生に冒険を取り入れたい、そして 法学士でありながら法曹界に入らぬと決心した若者 : ネヴィル・リチャードソン
②-2 そこで知ったが謎の言動の女 : アリアドネ (名乗ってはくれなかったので仮の名前)
②-3 その女性(アリアドネ)の後をつけて、近くの公園で脅していた「帽子を被りコートを着て、しゃがれ声で時々せせら笑いをする」嫌な感じの男 : ?
c-2 イギリスの田舎の小村 ピッチフォード
②-10 引退した元大佐 インドから戻り国防省(というよりも英国諜報部に勤めていた) 70才前くらい : ダグラス・マカリスター
②-11 マカリスター大佐の友人で『ロンドン警視庁』の元主任警部 ハースト警部とも知り合い 60才過ぎ 「模型作り」が趣味 まだまだ体力には自信あり : チャールズ・ウィンズロウ
②-12 チャールズの姪(めい) 23才 あざやかな金髪のすらりとした美しい顔を持つ女性(この村でまんざらでもない男は歴史教師アーサー・テイルフィールドだけ) : ブライディ
②-13 ブライディと仲良しになった娘のいる隣のおもちゃ屋 : シムズ家
③-14 村の出口(牧場や野原に出る直前)にある誰かが入ろうとすると・・・おかしな噂のある家(現在は誰も住んでいないはずの廃屋) に住んでいたエマとリチャードの亡くなった叔父 : ルイス・フィディモント
③-15 「ブラクストン&ドレイク」公証人事務所でルイス・フィディモントの「家の鍵」と 遺産管理に携わっている人間 : フェリックス・ブラクストン
③-16 『ロンドン警視庁』の元主任警部「チャールズ・ウィンズロウ」が、かって解決した「ライト事件」の主犯で、天才的な怪盗だった人物 : (?) (「くも男のビリー」と同一人物かも?)
③-17 ルイス・フィディモントの家の近くを通った時に、うめき声を聞いた少年 : トム・オルセン
c-3 ピッチフォードの隣村 教師たちとその関係者
③-1a 最近「古きロンドン友の会の副会長」に選ばれたばかり、歴史教師 (妻より10才以上年上) : アーサー・テイルフィールド
③-1b 時々ロンドンで買い物をして帰りが遅くなってしまう、その妻 (ベネチアブロンドの長髪、30そこそこの美人) : ローラ
③-2a アーサーの同僚で、ドイツ語教師 : ウォルター・リンチ
③-2b その妻 (40過ぎ、栗色の髪) : エマ
③-3 エマの兄、不動産開発業者 : リチャード・フィディモント
c-4 何者かの指示によって封筒を持って行ったり帰ってくる「歩き屋たち」
④-1 メッセンジャー(その1) : ジョン・パクストン
④-2 メッセンジャー(その2) 女性 : ローゼンウォーター夫人
c-5 その他 (? は名前が表示されていない場合もあります)
②-50 『古きロンドン友の会』の会長 : ?
②-51 謎の宝石窃盗団 : ?
②-52 本作の真犯人 : ? (1人とは限らない)
c-9 捜査陣 ( 今回は出ていなくても書いてあります)
②-90 ある事件を報告したコヴェント・ガーデン地区の巡回巡査 : ジョン・ハミルトン・マーシュ
②-94 (本作では登場しない)ロンドン警視庁の尾行担当刑事 : フレッド・ターナー
②-94-2 (本作では登場しない) 同 尾行担当 : (カメレオン)ことフイリップ・ウェルズ巡査
②-95-1 ブリグス警部と聞き込みを一緒にした巡査 : ファー、スミスら
②-95-2 ハースト警部の部下たち : ジョンソン、トーマス、若いウィリアムら
②-96 検死医 : ロースン
②-97 (ロンドン警視庁の警部 ハースト)。いつもなぜだか怪奇な難事件に遭遇してしまう巨体で50代の男。何かあるとツイストを頼る : アーチボルト・ハースト(Chief Inspector Archibald Hurst)
②-98 (ロンドン警視庁の警部 ブリグス) 同、警部。昔の事件でツイスト博士が望む資料を直ちに見つけ出すことにかけては一番信頼のおける男 : ブリグス警部
②-99 (名探偵 アラン・ツイスト博士) 非常に長身でやせてるがよく食べる、愛想のいい上品そうな物腰の60才くらいの白髪混じりのくせ毛で 鼻眼鏡のブルー・グレーの目をもつ犯罪学者 : アラン・ツイスト博士(Dr. Alan Twist)。
[D] 出版情報 (採番は㊿から)
㊿-1「死まで139歩 (ハヤカワ・ミステリ) Kindle版(原題: 仏語 À 139 pas de la mort) Kindle版」ポール・アルテ(Paul Halter)著 (ハヤカワ・ミステリ 平岡敦訳)。ちなみに、英語原題は「139 Steps from Death」となっています。
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(CL-1 ) 献辞
特にありませんでした。
(CL-2 ) 後書き、解説など
巻末に、作家「法月綸太郎」氏による『解説』があります。
(CL-3 ) シリーズのおおよその紹介
㊿-2 著者はほぼ全作で、著者自ら認める『ジョン・ディクスン・カー』大ファンのような本格ミステリー小説を書いてられますので、そういう意味で、ロンドン周辺を舞台にした英国ミステリー・ムードにフランス風味が追加されて・・・という感じです、初めての人でも楽しめます。
㊿-3 本作は、フランスの本格ミステリー作家「ポール・アルテ(Paul Halter)」氏の長編小説の中の「アラン・ツイスト博士シリーズ」の第6作めです(1990年)。
(CL-4) 以下はだいたい、前までの記事と同一内容でskipできます
㊿-4 日本語翻訳本は、電子書籍版(いわゆる、ここではkindle版)で発売されたものです。訳はアルテ氏のミステリーをほぼ1人で行っているかと推定される「平岡敦」氏が担当されています。
㊿-5 著者「ポール・アルテ(Paul Halter)」氏は、フランスの本格ミステリー作家の1人です。とりわけ「ジョン・ディクスン・カー(John Dickson Carr)[またはカーター・ディクスン(Carter Dicson)名義]」の大ファンであることで知られています。そこからそのような『犯人が誰かというだけではなく、密室殺人も含めた不可思議な状況下での事件(不可能犯罪と呼ばれていることもある)と謎解き』という作風となり、2002年の『第四の扉』以来、3作連続『本格ミステリ・ベスト10』の1位に選ばれるなど日本のミステリー・ランキングでも有名な、また、人気の作家の1人です。
㊿-6 登場する探偵役には、2大探偵として、(1)「名探偵 アラン・ツイスト博士」、(2) 「美術評論家のアマチュア名探偵 オーウェン・バーンズ」がいます。 そして多分、(3) 「シリーズ物以外」に登場する他の名探偵たちもいることでしょう。
㊿-7 ツイスト博士もオーウェン・バーンズも両者とも主にイギリスで活躍しています。というのは、ツイスト博士は20世紀なかば頃を時代背景として『ロンドン警視庁 ハースト警部』と協力して事件解決にあたり、もう1人のオーウェン・バーンズも19世紀から20世紀へり移りかわりの頃を時代背景に、友人「アキレス・ストック」や『ロンドン警視庁 ウェデキンド警部』と共に事件の謎の解明にあたります。そこに著者のフランスの香りが加えられているだろうということで、もし2人をTVドラマ化したら、建物や衣装や車などはちがっているし、そういう状況下では、たとえ事件の謎や密室の構図は似てるとしても雰囲気はちがって見えると思われます。
(CL-5) 長編一覧からの抜粋リスト
順番 タイトル(原題 仏、英語) kindle有無
(1) ㊗️第四の扉 (La Quatrième porte 英 : The Fourth Door ) kinlde○
(2) ㊗️死が招く (La Mort vous invite 英 : Death Invites You ) kinlde○
(3) ㊗️カーテンの陰の死 (La Mort derrière les rideaux 英 : Death Behind the Curtains) kinlde○
(4) ㊗️狂人の部屋 (La Chambre du fou 英 : The Madman's Room ) kinlde○
(5) ㊗️虎の首 (La Tête du tigre 英 : The Tiger's Head ) kinlde○
(6) ㊗️七番目の仮説 (La Septième hypothèse 英 : The Seventh Hypothesis) kinlde○
(7) (⚠️未邦訳) Le Diable de Dartmoor(英 : The Demon of Dartmoor)(1993年)
(8) (本作㊗️) 死まで139歩 (À 139 pas de la mort 英 : 139 Steps from Death) kinlde○
(9) (⚠️未邦訳) L’image trouble(英 : The Blurred Image)(1995年)
(10) ㊗️赤髯王の呪い (La Malédiction de Barberousse 英 : The Curse of Barbarossa) kinlde○ [注: バルバロッサ(伊:Barbarossa)は、イタリア語で「赤ひげ」の意(barbaは髭、rossaは赤)。 神聖ローマ皇帝フリードリヒ1世(1122年-1190年)の異名。wikiより)
今回はここまでで、続きは次回です!(別の作品になります)
ではまた!