「殺しへのライン」 (原題 : 「A Line to Kill 」 )
kindle(含Unlimited)版で読む 海外の本格ミステリー小説
探偵ホーソーン(Hawthorne)・シリーズ第3弾 (物語は『メインテーマは殺人』の刊行まであと3ヵ月という時点)
(1) 主役は例の2人「ダニエル・ホーソーン(と、当作の進行役もつとめる「私」こと)作家のアンソニー・ホロヴィッツ」です(ホーソーン Hawthorne シリーズとも言われてるらしいです)。ご本人が実名と実職業で、これまた実名の場所などの空間のなかで登場している雰囲気。
(2) 島で起きる謎の殺人事件? 舞台はフランスとイギリスとの間にある「(イギリスの王室属領の)チャンネル諸島(Channel Islands)」の「オルダニー島(Alderney、アルダニー島の表記もみられる)」です。ググルとちゃんと地図も歴史も出てきますです(下にGoogleマップより2点ほど実在の地図を貼付しています)。
(3) なお、次作(第4作)ホーソーン・シリーズ(Hawthorne 4 とされています)、「The Twist of a Knife (2022)」も原作はすでに出版されているもようで(Amazonなどでみますと2022年8月のようです)、日本でもきっと翻訳されるでしょうから待ち遠しいことです。
[A]ネタバレなしの超ミニあらすじ (多少、文章は時間軸も含めアレンジしておりますが)
①-1 読者の人気も高いダニエル・ホーソーンと一緒に出席を求められた作家のアンソニー(ホロヴィッツ)は『ペンギン・ランダムハウス(Penguin Random House 含ペンギン・ブックス Penguin Books)』の宣伝会議室にいた。ワーカホリックな広報部長タマラ・ムーアがチャンネル諸島の『オルダニー島で開かれる文芸フェスへの2人での出席』を提案。会議では、その案で行こうというムード。(だが・・・彼は・・・おっそいなあ〜。ホーソーンがまだ来ない! 腕時計をちらっと・・・30分も!)
Google マップを使った地図表示です
①-2 それに、と作家は悩む・・・(えっ? まだ本もできあがってないのに?予定では『メインテーマは殺人』の刊行まであと3ヵ月・・・ああ、良かった、やっと・・・)。電車に乗ってサウサンプトン空港内のレストラン『グローブ・バー&キッチン』にむかう。そこには、すでに他の招待客の何人かも来ていた。飛行機は予定通り飛び立ち、そして島に到着。
①-3 『文芸フェス』のために島に到着した人々はホテルに入った後、さっそく準備に取りかかかる。最近TVでも超人気のシェフのマーク・ベラミーは(今夜のために腕によりをかけて・・・あれ? 新しい助手は?) 。 その新人助手のキャスリン・ハリスは彼の最新作の本がぎっしり詰め込まれた重いカバンをなんとか運んでいた(彼女は「このチャンスをのがすものか」と頑張っていた)。
①-4 めずらしくホーソーンがにこやかに話しているとアンソニーが眺めてると、話す内容から、どうやら、かって彼が息子と一緒に読んだ児童文学の作家アン・クリアリーだから話に夢中と判明。一方、『朗読詩人』マイーサ・ラマルが入ってきて、きれいな建物を見て驚いている(彼女もまた「一大チャンス」とこの文芸フェスにやってきていたのだった)。オルダニーで最も著名な歴史家ジョージ・エルキンのトークも予定されている。
①-5 この文芸フェスの主催者ジュディス・マシスンの説明を受け、飲み物の提供されるダイバーズ・インもすぐ隣接しているブレイ・ビーチ・ホテル。ジュディスの夫は島議会議員で法廷弁護士のコリン。さらに、招待客たちはやってくる。霊能者エリザベス・ラヴェルと夫シド。夜まで時間もある。文芸フェスの後援者は、この島発信とも言われるオンライン・カジノ『スピン・ザ・ホイール・コム』のCEOで大富豪チャールズ・ル・メジュラーと妻のヘレンだそうだ。
①-6 詳しくはわからないが、どうやら、島では『NAB 〜 ノルマンディ=オルダニー=ブリテン送電線建設計画』についての意見は、カジノのコインをトスして決めるかとばかり、そして白黒2色の灯台のように2分されていた。一方、地球のどこかでは、若い男が自分の部屋でオンラインカジノで遊んでいた。そのサイトにはきれいな女優も写っていた。楽しくてやめられず、ずっと部屋に篭り切り・・・やがて母親が心配になって見に来た。
①-7 真夜中の3:00。2つの黒い影が『ある場所』に侵入しようとしていた。耳を澄ませても聞こえるはただ海の波の音のみ。そこへは(下見は十分してあったので)予定どおり、そっと裏から入った。そっ〜と、ドアを開けた。(また波の音がした) まっ暗な中、やっと目が慣れてきた2人。「おや・・・?」。その2人が下から見上げる・・・『じゅうたん』・・・『イス』とそれから・・・2人はそっとそっと、まわれ右して・・・外へ出た。(もう我慢ができない! きゃ〜〜!!)
[B] 本作の主な登場人物 (書籍によっては、登場人物の名前に多少の違いがあることもあります) (採番は②と③と④と⑤を分類上必要なら使う)
(一応、わかりやすく分類はしていますが、他意はございません)
文芸フェスの関係者
②-1a 文芸フェスの主催者 : ジュディス・マシスン(夫は NAB計画協議委員長の島議会議員で法廷弁護士のコリン・マシスン)
②-1b 文芸フェスの食事などの間の、音楽担当グループ : ザ・チャンネラーズ
文芸フェスに招待された作家たち
②-2a 『レシピー集』の出版記念で登場。日曜朝のiTV2チャンネルの番組『美味(うま)いもん食おうぜ』の料理人、うたい文句は『カロリー万歳』という不健康な料理が売りのシェフ : マーク・ベラミー
②-2b 新しく担当となったマークの助手の若い女性 : キャスリン・ハリス
②-2c ホーソーンと彼の息子がかって読んだ『ふたごのフラッシュバン、海に行く』などの超能力を持つ双子『ビルとキティ・フラッシュバン』の冒険を描く児童文学作家(通称 ドリアリー)で 元看護師、元刑務所訪問委員 : アン・クリアリー
②-2d 母国フランスで絶賛の「コショワ語」で語りかける『朗読詩人』でカーン大学の准教授 : マイーサ・ラマル
②-2e 自作に関する講演が予定されている、オルダニーで最も著名な歴史家で妻とこの島のクラビーに住む戦争史家 : ジョージ・エルキン
②-2f 新刊『闇を見とおす』見えない世界などを描く、(同じ 諸島の)ジャージー島に住む霊能者の女流作家 : エリザベス・ラヴェル
②-2g いつも付き添い、進む方向や相手の位置を教えるなど手助けしている、エリザベスの夫 : シド
②-2h 文芸フェスの主催者ジュディスの夫で当フェスでトークショーを開く予定の島議会議員 (NAB〜 ノルマンディ=オルダニー=ブリテン送電線建設計画については、議会で賛成の立場をとったNAB計画協議委員長)で法廷弁護士 : コリン・マシスン
②-2g ホロヴィッツが見た、空港や映画館前の路上などで出現する、フランス人と見られる謎の金髪の青年 : ?
現地、オルダニー島から世界に発信。オンライン・カジノ『スピン・ザ・ホイール・コム』のCEOで大富豪の自宅『眺望邸』とその『離れ 隠れ家』の関係者
②-3a 文芸フェスの後援者、NAB(ノルマンディ=オルダニー=ブリテン送電線計画)の推進者 オンライン・カジノ『スピン・ザ・ホイール・コム』のCEOで大富豪 : チャールズ・ル・メジュラー
②-3b チャールズの妻で、フランスへ買い物にも行く、オルダニー島の学校に遺贈など支援をしている : ヘレン
②-3c チャールズの財政顧問で、かってのある事件でホーソーンと因縁が残る男 : デレク・アボット
②-3d ヘレナ夫人の家政婦 : ノーラ・カーライル夫人
②-3e ノール会社の土地測量士で、ヘレナ夫人のパリでの友人の1人 : ジャン=フランソワ・ベルトールド
現地、オルダニー島の人たち
②-4a アンソニーとホーソーンが島に滞在する間、ずっと運転を(有料で)任せることになった、地元タクシー会社の跡取り息子で運転手 : テリー・バージェス
②-4b 医師(NABについては、最も強く反対している人たちの1人) : ヘンリー・ケリペル
②-4c マイクロバスの運転手(ホテルと『眺望邸』の間などを行き来している) : トム・マッキンリー
アンソニー・ホロヴィッツの次回作『メインテーマは殺人(原題 : The Word Is Murder )』の出版会議の関係者(於 ペンギン・ランダムハウス Penguin Random House内)
⑤-70 最近、ペンギン・ランダムハウスに移ってきたばかりの 編集主任、50才ほどのやせぎすの男性 : グレアム・ルーカス
⑤-71 机の上のノートパソコンを一途にのぞんきこんでの ワーカホリックな広報部長、30代前半の女性 : タマラ・ムーア
⑤-72 入ったばかりの、タマラのアシスタントの20才くらいの若い女性(ところで、『ハイ・フィデリティ』(High Fidelity)は、ニック・ホーンビーの小説です、お間違えのないようにお願いします) : トリッシュ
⑤-77 電子タバコを愛用、アンソニー・ホロヴィッツの作品担当の著作権エージェント : ヒルダ・スターク
捜査関係者
⑤-95 ガーンジー警察から派遣されてきた 本部長補佐 : ジヨナサン・トロード
⑤-96 同、女性特別巡査だが、いつもみじめそうな顔している : ジェーン・ウィットロック
⑤-97 鑑識の責任者 : ?
⑤-98 ロンドン警視庁(かってのスコットランド・ヤード)の顧問。元刑事の私立探偵で、現在はアンソニーに本に残す記録を依頼してコンビを組み事件解決にあたる、あまり自分のことは話さない男 : ダニエル・ホーソーン
⑤-99 ホーソーンと組んで難事件を解決する、本作のワトソン役を兼ねる作家の「わたし」 : アンソニー・ホロヴィッツ(実名登場の形式を取り、周囲にあるものも現実に存在する地名、カフェ、レストラン、駅名などが多いが、全点調べてはいないので・・・)
[C] 本作について (採番は⑥~)
⑥-1 引退した元刑事「ダニエル・ホーソーン」とこの本の著者その人自身と同じ名前の小説家(兼TVドラマの脚本家「アンソニー・ホロヴィッツ」が組んで、難事件に立ち向かうシリーズの待望の3作目。Unlimitedではなく、通常のiPad Pro版Kindle で読みました(書店には同じ出版社で文庫本が出ています)。
⑥-2 巻頭の『献辞』は奥さんの「ジル・グリーン(Jill Green)」さん宛に「この島に・・・」となってます。ちなみに、奥さん「ジル・グリーン」はTVドラマなどのプロデューサーで、作品によってはアンソニー・ホロヴィッツ氏の脚本と合わせて、IMDBなどでは氏名が出ています(たいてい、executive producer または producer の欄に名前があり、プロフィールも載っています。ググれば、さらに情報が・・・)。
⑥-3 一方、アンソニー・ホロヴィッツ氏自身については、レンタルDVD(Blu-ray)の映画「オリエント急行殺人事件(Murder on the Orient Express)」(2017年、ケネス・ブラナー Kenneth Branagh主演・監督版)の本編の終わったあとの、「特典映像」の中にアンソニー自身が解説者として登場。「アガサ・クリスティ(Agatha Christie)」の大ファンとわかる。今まで出版されている本は、アガサ・クリスティへのオマージュが満載とのこと。
⑥-4 巻末には『若林踏氏の解説』があり、著者アンソニー・ホロヴィッツの略歴や本作のあらすじなども読めるようになっています(私めは、書店で『本』を探す時は「巻末の解説」を少し見て、読み出したら「解説」は最後に読むことにしていますが)。
⑥-5 「殺しへのライン(A Line to Kill) Kindle版」、アンソニー・ホロヴィッツ(Anthony Horowitz)著 (創元推理文庫 山田蘭訳) 。
[D] アンソニー・ホロヴィッツ(Anthony Horowitz)のミステリーのシリーズについて (採番は⑦~)
本作の 「探偵ダニエル・ホーソーンとアンソニー・ホロヴィッツ」シリーズ以外にも、超人気のベストセラーシリーズ(いずれも日本でも人気のミステリーの上位に入っている)があります。それらについて以下簡単に。
㊺-2-a 「カササギ殺人事件(原題 : Magpie Murders )」 (創元推理文庫 山田蘭訳)
㊺-2-b 「ヨルガオ殺人事件 (Moonflower Murders) 上下巻 Kindle版」、アンソニー・ホロヴィッツ(Anthony Horowitz)著 (創元推理文庫 上下巻 山田蘭訳) 。
㊺-2-b 「メインテーマは殺人(原題 : The Word Is Murder )」(創元推理文庫 山田蘭訳)
㊺-2-c 「シャーロック・ホームズ 絹の家(原題 : The House Of Silk ) (角川文庫 駒月雅子訳)
㊺-2-d 「モリアーティ(原題 : Moriarty )」 (角川文庫 駒月雅子訳)
㊺-2-e 「その裁きは死(原題 : The Sentence Is Death )」(東京創元社 山田蘭 訳)
㊺-3 その他の分野では、イアン・フレミング財団公式認定の最新の小説「007 逆襲のトリガー(Trigger Mortis)」(角川文庫、駒月雅子訳)。2020年秋公開予定の最新ボンド映画「ダニエル・クレイグ主演のNo Time To Die」の原作ではありません。また、近い将来、もう1冊といううわさもあります。
㊺-4 海外TVドラマシリーズ「刑事フォイル(原題: Foyle's War)」などの脚本担当としても知られている。
その他の情報 〜 映画・TVドラマ化など
今年8月中旬に日本でも、TVドラマ化された作品「Magpie Murders(2022)」が1つ放送されています。
(1)脚本はアンソニー・ホロヴィッツご本人で、プロデューサーの1人(executive producer)は奥さんの「ジル・グリーン(Jill Green )」さん。
(2) 本国イギリスでは、WOWOW 「英国ミステリー「カササギ殺人事件(全6話)」」本(2022)年、8/17(水) と8/18(木)の2日連続で、それぞれ3話続けての連日放送しました。それぞれドラマ用のサブタイトルもついているようです。他の作品のドラマ化や続きについては、まだ私は情報を把握していません。
以上です
ではまた!