「剣の八」〜 ジョン・ディクスン・カー著
[A] ギデオン・フェル博士(Gideon Fell) 〜 フェル博士(3)
① ジョン・ディクスン・カー(John Dickson Carr)」の人気作品には、いろいろな主人公(探偵役)が登場します。「アンリ・バンコラン(Henri Bencolin)予審判事」、「ギディオン・フェル(Gideon Fell)博士」、「警視総監直属D3課長マーチ大佐(Colonel March)、主に短編で登場」などです。
② 一方、別名義のカーター・ディクスン(Carter Dickson)で発表した作品では、「通称H・Mこと、ヘンリー・メリヴェール卿(Sir Henry Merrivale)」が主に活躍し、その彼が登場する長編第1作目は「プレーグ・コートの殺人(The Plague Court Murders)」ですが、こちらも人気の主人公です。
③ 本作の原題は「The Eight of Swords」です。ギデオン・フェル博士登場3作めの長編です。タイトルの『剣の八』は作中に出てくる、『ある手書きの水彩画のカード』で説明もあります。
[ B ] 今回のストーリーの主な舞台『ゲストハウス』周辺のイメージを作ってみました
[ C ] 本作の登場人物
⑳-1 主な登場人物です(枠線による区分はおおまかです)。物語の進行役(いわゆるワトソン役)は、主教の息子「ドノヴァン青年」です。
[ D ] 本作のあらすじなど 〜 [ネタバレなしの超ミニあらすじ〜多少、文章はアレンジしております]
⑩ [今回の舞台はロンドンから車でブリストル郊外の田園風景の見えるようなところにある、スタンディッシュ大佐の屋敷『グレーンジ荘』と『ゲストハウス 』の周辺]
(a) 父親のマプラムの主教から、『犯罪学』の勉強を条件にアメリカの大学への留学を認めてもらった「息子のヒュー・アンスウェル・ドノヴァン」だったが、それも『ブロンド娘』に夢中になってしまい、超優秀な「ミドル級ボクサー」になる。帰国の船旅についた彼は、偶然「ギデオン・フェル博士」と仲良くなる。しかし、船中で『いたずら』をして罰として船倉(せんそう)に入れられてしまう。
(b) 一方、サウサンプトン港ではそんな息子のドノヴァンを、父親のドノヴァン主教と友人の「スタンディッシュ&バーク出版社の出資者のスタンディッシュ大佐」とが1台の車の中で迎えにきていた。しかし問題があった。あの立派な美声の持ち主で伝説的な犯罪学の博識さを持つ父親の主教が、本人の否定にもかかわらず、最近、不思議な言動をすると噂になっていた。『ポルターガイストだって?』、うわさはすぐに広まった。悩んだスタンディッシュ大佐は、ロンドン警視庁(スコットランド・ヤード)の「ハドリー警部」のところにフェル博士と一緒に出向くことになった。車中でも息子のドノヴァンは下を向いて小さくなっていた。
(c) スタンディッシュ大佐の屋敷『グレーンジ荘』に着いた主教とその息子、マーチ警部、フェル博士。そして「デッピングの娘、ベティ」は、「スタンディッシュ」家の長男「モーリー」と婚約したばかり。長女「パトリシア」の方は「ドノヴァン青年」と新たに知り合った。
(d) そんなある夜、スタンディッシュ大佐の屋敷の『ゲストハウス』では、風雨が激しく嵐になって建物内の電気が急に消えると、使用人頭の「ストーラー」らはろうそくを探して右往左往。しかしやがて、2階にいた「セプティマス・デッピング」という男が不可思議な状況下で・・・そして彼の手の近くには『1枚のカード』が・・・。
(e) ドノヴァン青年のボクシングの技は危険な場面で生かされるのか? パトリシアは彼のことをどう思っていたのか? モーガンの推理はどうしてかくもすごいのか? 妻のマデリンは何をしている人? スタンデッシュ夫人は息子の婚約者になったデイビーをどう感じていたか? 主教は本当に大丈夫なのか? ポルターガイスト現象って何? なぜ『あの人』の射撃の腕は、夜に動く影を的(まと)にしているにもかかわらずスゴいのか? マーチ警部ってどんな人? シューズの底はだれのサイズにあってたのか? いろいろな疑問を読者はかかえたまま、物語は進んで行きます。犯人は誰? そしてどうやって?
㉟ 「剣の八(The Eight of Swords) Kindle版」ジョン・ディクスン・カー(John Dickson Carr)著 (早川書房 加賀山卓朗 訳)。
ではまた!