疑惑の影 〜 ジョン・ディクスン・カー著 フェル博士(1 8)
[A] 「Kindle (含むUnlimited)」で読むJDC 〜 超ミニあらすじ〜多少、文章は時間軸も含めアレンジしております フェル博士(18)
(本作の舞台)「疑惑の影 〜 フェル博士(18) : 『ロールスロイスのリムジン』が『ホロウェイ刑務所』に到着するあたりからはじまり、裁判所での審理の様子、そしてミルドレッド・テイラー夫人の屋敷とその姪のルシア・レンジャー夫妻の屋敷、などと続きます。
①-1 『小修道院』と呼ばれる「ミルドレッド・ホフマン・ティラー夫人」の屋敷、そして『大修道院長の家』と呼ばれている「リチャード(ディック)とルシア・レンショー夫妻」の屋敷、そして『礼拝堂(ここは現在空き家)』があった。これら3つの家は規模は違えど構造は3つのピラミッドのように、よく似ていた。
①-2 一部では『偉大な弁護士』また一部では『あのいまいましい某所の人』として知られている弁護士「パトリック(パット)・バトラー」はルシアが教えてくれた「(名前は思い出せないけど、ソホー区にある)ディーン・ストリート136」に行ってみた。そこは男女が仮面をかぶる『仮面ダンス・クラブ』だった。バトラーも仮面を買ってビリヤード台の側からあっちこっち観察してみた。用心棒のようなプロのボクサーのような身のこなしの「金歯(バトラーのつけた名だが)」と「エム」がいるのが見えた。
①-3 テイラー夫人とルシアの両方の家の知人でもある「アーサー・エヴァンズ・ビアズ医師」は帰ったばかりだった。フェル博士は、事務弁護士の「チャールズ・エワート・デナム」を1階に残したまま、バトラーと2階へ上がっていった。彼はいろいろ話を聞いて、『(コップつき)水差し』と『窓の敷居の上の埃(ほこり)の上に残っていた奇妙な跡』に注目した。バトラーは、若い女中の「キティ・オーエン 」がいつも持っている『緑色の編み物袋』が気になった(きっと、きっと・・・あの中に・・・)。
①-4 『コーヒー店』では別のお客が残した『あいつぐ毒殺事件・・・』と小見出しをつけた記事の載る古新聞が風に舞い、探偵社では所長「ルーク・パーソンズ」が恐ろしい予感で声も震えていた。まずそうなコーヒーから目をあげると、そこには美人が1人立っていた。さっきはうなだれてたバトラーは今は少しドキッとした(君は、この間独房で一人で泣いていたじゃないか・・・)、バトラーはさらにドキッとした(あの日・・・あの女性は・・・)。
①-5 3月のある寒い風が吹くあの日、バトラーと事務弁護人デナムは、ジョンソンの運転する『ロールスロイスのリムジン』に乗って、イズリングトンの『ホロウェイ刑務所』に公判を待つ魅力たっぷりの美女をたずねた。彼女は毒薬『アンチモン(吐酒石)』による殺人罪で起訴されていた。灰色の大きな目を向けた彼女はバトラーに『信じて!』と懇願していた。その現場では馬車の御者「ビル・グリフィス」が『馬の毛につやを出すためにアンチモン』を使っていた。彼の妻「アリス」と「料理女 エマ・パーキンズ」が裁判で証言に立つ予定になっていた(あの時、たしか裏のドアがばたんばたんと・・・)。
①-6 みぞれが降っていた。3月20日(木)午後3:55。『オールド・ベイリー(Old Bailey)とも呼ばれる)中央刑事裁判所』の第1号法廷では、今、被告人席に立つ女性がいた。支えなしにはもう1秒だって立っていられそうもなかった。弁護士のバトラーの意外な奮闘も巧妙な話術による『事態の予想外の好転』も「ストーンマン判事」の長い演説でフイになってしまったかのように『陪審員たち』は出てこなかった。(どうしよう? はっきり言って大ピンチだ)そう感じた彼女の視線の先には、傍聴席に座る大きな人「フェル博士」が見えたが、逆にバトラーはだんだん小さくなっていくように感じた。みぞれはさらに激しく降ってきた。やがて・・・。
①-7 その夜、ある人物が『その屋敷』からそっと出てきた。その手には缶から取ってきた「アンチモン」があった。ついにこの時がきたのだ! そして『別の屋敷』に忍び込んだ。今夜、その人物は家にはいない、と確認してあった。そこで、その人物はかきまぜた。かきまぜて、かきまぜて・・・。
[B] 本作の主な登場人物 (書籍によっては、登場人物の名前に多少の違いがあることもあります) (採番②と③)
本作では、ジョン・ディクスン・カー作の別の作品『バトラー弁護に立つ(Patrick Butler for the Defense)』の主人公「パトリック・バトラー(Patrick Butler )」が序盤より出て参ります。
以下、おおまかな登場シーン別くらいにグループ分しておりますが、あまり深い意味はありません
(ミルドレッド・ティラー夫人の屋敷の人たちとその関係者)
②-1 屋敷の大金持ちの老婦人 : ミルドレッド・ホフマン・ティラー夫人
②-2 世話係と話し相手も兼ねる屋敷内に同居している美人の秘書 : ジョイス・レスリー・エリス
(離れで、馬車置場の離れ屋の上の階に住む)
②-3 同屋敷の馬車の御者 : ビル・グリフィス
②-4 毎朝8:00に母屋の裏戸の鍵をジョイスに開けてもらい入って火を起こし茶を飲む、 ビルの妻 : アリス
②-5 アリスに続いて母屋に入り、茶の準備から始める料理を主な仕事としている女性 : エマ・パーキンズ
(『大修道院長の家』と呼ばれるルシア・レンショー夫人の屋敷の人たち、その関係者)
②-6 小麦色にピンクの肌で白のドレスがよく似合う、ミルドレッド・ティラー夫人の姪(めい) : ルシア・レンショー
②-7 夫婦関係に問題がある、その夫 : リチャード(愛称は「ディック」)
②-8 ルシアのかっての家庭教師で、現在も同居している女性 : ミス・アグネス・キャノン
②-9 コップつき水指しの水をバスルームでかえてた若い女中 : キティ・オーエン
(屋敷には住んでいないものの、ルシアたちの関係者)
③-71 「ミルドレッド・テイラー夫人」および「姪のルシア・レンジャー夫妻」両家における事務弁護人(ソリシター、法廷弁護士(バリシター)とはちがい、裁判に関わる書類作成などを行う、法律専門職の資格が与えられていいる者のこと) : チャールズ・エワート・デナム
③-72 「ミルドレッド・テイラー夫人」および「姪のルシア・レンジャー夫妻」両家に関して登場する医師で友人の男 : アーサー・エヴァンズ・ビアズ医師
(その他の関係者)
②-10 ルシアがかって雇った私立探偵事務所の所長 : 『スミス=スミス』ことルーク・パーソンズ
②-11a 仮面のダンス・クラブの用心棒たち1(a) : 金歯ことジョージ・グレース
②-11b クラブの用心棒たち2(b ) : エム?
(事件に関係する審理の法廷での関係者)
③-70 一部では『偉大な弁護士』、また一部では『あのいまいましい某所の人』として知られている「勅撰法廷弁護士(KCバリシター、裁判所での弁論活動などを行う。本作における裁判での被告人側の弁護士」 : パトリック(パット)・バトラー
③-71 バトラーの裁判時の助手 : ジョージ・ウィルモット
③-72 バトラー家の『ロールスロイスのリムジン』の運転手 : ジョンソン
③-73 バトラー家の家政婦 : ミセス・パスタナック
③-74 バトラーがボクシングを短時間で教えろと頼んだ(元?)ボクサー : テレンス・オブライエン
③-80 ある裁判において、国王の名において立った勅撰弁護士(つまり今回は訴追側) : セオドア・ロウドンズ老人
③-81 最初の裁判で、ほぼ決まったと思われた審理について、別室での陪審員たちの決定前に、長時間にわたって陪審員たち大逆転の可能性を感じさせる要約をしてみせた判事 : ストーンマン判事
(以下、捜査関係者)
④-95 ビアス医師がある事件のことについて検視官に連絡したところ、死体の検死解剖を行い『毒薬 アンチモン』が含まれるという結果を出した内務省分析係 : フレデリック・プレストン卿
④-96 ある家の家宅捜査の担当警部 : ソームズ
④-97 地区警察の事件担当警部 : ギルバート・ウェールズ
④-98 フェル博士とも親しいロンドン警視庁の警視 : ハドレー(ハドリー)
④-99 ギデオン・フェル博士
[C] 本作について
⑥-1 原題は「Below Suspicion 」。巻頭には『献辞』があり「ヴァイオレット・・・ジェフリーに」と2人に捧げられていますが2人が誰かはわかりませんでした。また、巻末には『訳者のノート』があり簡単な注釈がいくつかと邦訳タイトルについての説明もあります。
⑥-2 なお、本書に登場する「弁護士 パトリック・バトラー」は、他では『バトラー弁護に立つ(Patrick Butler for the Defence)』があり、本書と同様、フェル博士とバトラーが登場しますが、カーの作品別カテゴリーでは、『フェル博士シリーズ』ではなく、有名な「火刑法廷(The Burning Court )」や「皇帝のかぎ煙草入れ(The Emperor's Snuff-Box )」や「弓弦城殺人事件(The Bowstring Murders)」も入っている『ノン・シリーズ』ものの範疇となっているようです。
⑥-3 「疑惑の影(Below Suspicion ) Kindle版」、ジョン・ディクスン・カー(John Dickson Carr)著 (ハヤカワ・ミステリー文庫 斉藤数衛訳) 。
[D] フェル博士シリーズ
⑦-1 ジョン・ディクスン・カー(John Dickson Carr)」の人気作品には、いろいろな主人公(探偵役)が登場します。「アンリ・バンコラン(Henri Bencolin)予審判事」、「ギディオン・フェル(Gideon Fell)博士」、「警視総監直属D3課長マーチ大佐(Colonel March)、主に短編で登場」などです。事件が不可能犯罪や密室の場合は、時に「誰がやったか?」よりも「どのようにしてそれらがなされたか?」に重点が置かれる場合があります。
⑦-2 一方、別名義のカーター・ディクスン(Carter Dickson)で発表した作品では、「通称H・Mこと、ヘンリー・メリヴェール卿(Sir Henry Merrivale)」が主に活躍し、その彼が登場する長編第1作目は「プレーグ・コートの殺人(The Plague Court Murders)」ですが、こちらも人気の主人公です。このHMが主人公の場合も、フェル博士登場と同様に、事件が不可能犯罪や密室の場合は、時に「誰がやったか?」よりも「どのようにしてそれらがなされたか?」に重点が置かれる場合があります。
⑦-3 現在、このブログでは、『フェル博士』の作品の記事をまず順に続けております。その時点で「Kindle (含むUnlimited)」の本が出ていないなどの事情があれば、記事の枠だけ作ってスキップして次の作品に進み、後でKindle版が出てきた場合は、順番は後になりますが、いつか記事にする予定ではいます。別途、その際に新訳本などがあればそちらを読むこともあるかもしれません。
ではまた!