フランスのミステリー作家、ポール・アルテの人気作品
2023年6月出版の「名探偵オーウェン・バーンズ」シリーズの第6作が登場!
[A] 本作について (「Kindle (含むUnlimited)」で読む )
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吸血鬼の仮面 (「名探偵オーウェン・バーンズ」シリーズ 5) 単行本 – 2023/6/28
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①-1 著者はほぼ全作で、著者自ら認める『ジョン・ディクスン・カー』大ファンでありアガサ・クリスティーの大ファンでもあり、本格ミステリー小説を書いてられますので、そういう英国ミステリー・ムードにフランス風味が追加されて・・・という感じです、初めての人でも楽しめます。
①-2a 「アラン・ツイスト博士シリーズ」(翻訳済み分)が一旦終わりまして、今回は、もう1人の探偵シリーズの「美術評論家のアマチュア名探偵 オーウェン・バーンズ(Owen Burns)」物で、昨2023年6月に発売されました『吸血鬼の仮面』です。その他の分はすでに記事にしてありました。少し間が空いた形です。本作の原題は「仏語: Le Masque du vampire」、英語原題は「The Mask of the Vampire」です。まあ、そのまま訳すと「ヴァンパイヤの仮面」という意味でしょうか? オーウェン・バーンズには、相棒(兼ワトソン役)の「アキレス・ストック」そしてロンドン警視庁からは「ジョン・ウェデキンド警部」がついております。
①-2b 出版社の「行舟文化の公式サイト」では、 『吸血鬼の仮面』は因習の村の謎めいた犯罪を「美学探偵」が解き明かすシリーズ邦訳第5作!となっております。本の写真では「帯として、ミステリー作家「有栖川 有栖(ありすがわ・ありす)」氏の推薦文があり、どうやら名探偵バーンズたちvs吸血鬼伝説の村の人々と真犯人という様相を呈(てい)しているようです。
本作の探偵役について
①-3 探偵役には、2大探偵の1人 (2) 「美術評論家のアマチュア名探偵 オーウェン・バーンズ」です。今までの「名探偵 アラン・ツイスト博士」物とは少し趣の違う物語になりますが、「密室などの不可能犯罪を視点に入れた本格ミステリー小説」という基本テーマは同じ分野だと思います。奇怪な状況、霧のロンドン! うむむ。深まる謎!
①-4 本記事の最後に書いてありますが、19世紀から20世紀へり移りかわりの頃(つまり、20世紀初頭)を時代背景に、友人「アキレス・ストック」(いわゆる、ワトソン役)や『ロンドン警視庁 ウェデキンド警部』と共に事件の謎の解明にあたります。ですから、もしTVドラマ化したら、建物や衣装や車などはツイスト物とはちがっているということになります。
①-5 「名探偵 オーウェン・バーンズ」はエキセントリックな芸術至上主義者とのことで、かんたんな外見だけ描くと、「アートに興味があってユーモアがあり、一方、細かいところが気になる、悪趣味なことは嫌い!」というタイプのようです(2019年5月に開催された、ポール・アルテ氏の来日講演[大阪]でのポール・アルテさんご本人のコメントによる。なお、この綾辻行人さん、有栖川有栖さん、麻耶雄嵩さん、島田荘司さんも出席) 。ちなみに本書には「住んでいるところは セントジェイムズ・スクエアのアパート」と書いています。
Google マップ 名探偵 (オーウェン・バーンズが住んでるアパートのある?)セント・ジェームズ・スクエア・ガーデン
①-6 オーウェン・バーンズ」のモデルは「19世紀末のアイルランド出身のフランスの作家、オスカー・ワイルド(Oscar Wilde)」らしいです。ちなみに行舟文化版の『あやかしの裏通り(日本語版だけだそうです)』のカバーイラストはポール・アルテ氏自身の筆によるものだそうでミュージックだけではなくアートの方もすごいということになります。[行舟文化の公式サイトの『八年ぶりのポール・アルテ!新シリーズ開幕!(あやかしの裏通り のこと)』から]。
①-7 映画やTVドラマで有名な「吸血鬼」と言えば、(1) ピーター・カッシングとクリストファー・リーの演じた映画『ドラキュラ伯爵(Count Dracula)』があります。ちなみに、クリストファー・リーは『007シリーズ の 原作者イアン・フレミング』の従兄弟です。(2)「ヴァンパイア(Vampire)」では、映画では、クリステン・スチュワートとロバート・パティンソン共演の『トワイライト・サーガ』シリーズ。TVドラマでは「ニーナ・ドブレフ」と「イアン・サマーホルダー」らが演じたTVドラマ『ヴァンパイア・ダイアリーズ』などがあります。
献辞
巻頭には「アメノ・・・P.H.」とあります。
「承前」とは? ・・・各章のサブタイトルの中には「承前(しょうぜん)」と書かれたものがありますが、これは一般的には、その前に出てきた章の続きという意味です。2つの物語が同時に並列的に進行する場合などで、たがいちがいに章が書かれているような構成になっていて番号は改めてふってるけど、前の章(または1つ飛ばして前の、あるいは、前々の章の時もある)の続きですよという意味(もしくは訳者がそう追記した場合)です。
後書き、解説など
「エピローグ」がついています。本文中には、ところどころでまとめて訳注がついています(kindle版)。
[B] ネタバレなしの超ミニあらすじ〜多少、文章は時間軸も含めアレンジしております
(舞台は、クレヴァレイ村とロンドン周辺)
(また、いつものことですが・・・時系列やセリフや心の声などは、かなりアレンジしています)
①-10 不死の貴族、コウモリ・・・屋敷にある『カーミラ』の本、十字架、ロザリオ、ニンニク、銀の弾丸 、聖水・・・日光を嫌う、棺、ヴァンパイア、ドラキュラ、血の・・・そして「杭(くい)」。
①-11 『エヴァズレイ家の納骨堂』を守る天使像、その向こうには僧院・・・本が大好きな、引退した文学教師「テレンス・ヒル」はクレヴァレイ村の小道を散歩をしていて思い出した・・・岩に挟まれた道を歩いて降りれば池があってと・・・あの時、緑色の光がしたと思ったら「男の影」が現れた・・・(この池には何かがある!)、そして今ある女性が目の前に立ち、池までおりて行こうとしていた・・・。一方、納骨堂内では心臓に「杭(くい)」を打たれた女が2人棺桶に横たわっているのを『吸血鬼のような男』が見下ろしていた!
①-12 豪雨の中、親友「エレナ」から『相談したいことがあるから、クレヴァレイ村の屋敷まですぐきて欲しい』という手紙によってやってきた 「ロンドンで暮らす若い女性 アン・シェリダン」。親友「エレナ」は、伯爵「ドリアン・ラドヴィック」の3度目の妻だった。最初の妻は「ローザ」で、彼女ローズの母が結婚した村の名士 『エヴァズレイ家』だった。2度目の妻は「マージョリー(・ウォーカー) 」だった。2人とも死んでいる。ドリアンはロンドンで骨董品の店を経営している。ちなみに、「ローザの伯母 モード・シーモア」 は今でも誰にでもドリアンを良い男性と言う。
①-13 最近、村では奇妙な「うわさ」が出る事件がつづいていた。少年や少女の「あるものを着た人物」の目撃、幽霊? その男は鏡に映らず、マントをひるがえしてドアから出ていった? ヴァンパイアか!? ドラキュラか!? 「ロバート・キャンベル牧師」と「化粧品の販売代理人 ヒューゴ・ニールセン」と「鍛冶屋 ポール・プラット」の3人が『エヴァズレイ家の納骨堂』で木製の棺だけは簡単に調べられるので確認したら「1年ほど前に死んだある女 マージョリー」は『まだ生き生きとして(?)」いた。(そんな、ばかな! ) 。後に確認した「マージョリーの姉 ジェイン・クリフ」は恐怖で一歩後ろに下がったぐらいだった。その上、村ではその生き返ったマージョリーの姿を見たという人たちもいた。そのような状況下、ついにポール・プラットは、自分達が立ち上がるべきだとキャンべル牧師に直訴した。
①-14 一方、ロンドンでは「名探偵 オーウェン・バーンズ」が、いつものように親友の「アキレス・ストック」にある未解決の『完全な密室殺人事件 ヴァイオレット・ストラリング』について話していた。「居間・キッチン、バルコニー、差し錠のかかったドアと鍵のかかった窓、そして椅子が2つ、丸テーブルと花瓶、割れたボトル、そして、糸車」・・・来ていた「ロンドン警視庁 ジョン・ウェデキンド警部」は『そう、糸車だった・・・』と感慨深げに言った。それから、ヴァイオレットとは顔見知りの「ジェイン・メリヴェイル」という女性がいたという。
①-15 その『ヴァイオレット・ストラリング』の話には「前置き」があった。「工員 ジョン・マッカーシー」が病(やま)いで死んだが、その時「ブラウン医師」がマッカーシー夫人に指示した処方には『あるもの』が。そして、その医師が帰った後、マッカーシーが呼んでくれと妻に頼み、最後の謎の一言を伝えた「司祭 ドノヴァン」が、その直後、辻馬車にはねられるという事件が起きていた。『(司祭が秘密に古新聞紙にメモしたマッカーシーの)その最後の謎の一言』は・・・どこに?
①-16 「化粧品の販売代理人 ヒューゴ・ニールセン」、「アンの婚約者 クリストファー・ワーウィック」、「引退した文学教師 テレンス・ヒル」を見張る3人の男たちの目の前で現れた『なぞの人影』と事件、「レヴとアアロンの2人のドリアンの兄たち」、「交霊術の会 超宇宙生命体の会」・・・結んだ細紐のように複雑にからみあった謎・・・きゃ〜〜っ!
(画像 : 下地はPixabay、文字などは「いらすとや」さんから)
[C] [ 本作の登場人物 (名前が不明などの時は「?」も使います)
(本作はいろいろ人々が複雑にからんでいて、ややこしいです。)
c-1 5年前の完全な密室殺人事件の関係者 (未解決)
②-1 被害者の寡婦(かふ、夫と死別または離婚した後そのまま独身でいる女性) : ヴァイオレット・ストラリング
②-2 交霊術の会 「超宇宙生命体の会」に通っていた女性 : ジェイン・メリヴェイル
c-2 病気で亡くなったが、殺されたと見られる工員(針金職人)の事件の関係者
②-20 病気で亡くなったと思われていた(ブラウン医師の処方で「ユーカリ」と「ニガクサ」を煎じて飲んだ)、工員(針金職人)の男 ヴァイオレット・ストラリングの事件との関係は不明? : ジョン・マッカーシー
②-21 亡くなったジョンの妻(未亡人) : マッカーシー夫人
②-22 ジョンが亡くなる直前の前夜と朝に診察に来たが、いつもの医者ではなかった謎の男(あご髭を生やし、とても背が高くて、大きな眼鏡をかけて、思わず引き込まれるような不思議な目をしている) : ブラウン医師
②-23 ロンドンに住む司祭(神父) (ある人物によって、辻馬車の車輪に向かって突き飛ばされて) 馬車にひかれて死んだ、ジョン・マッカーシーが亡くなる直前、呼んで何事か話したので(神父は、それを密かに新聞紙の切り抜きに書いて、ある場所に隠していた) : マイケル・ドノヴァン
c-3 ロンドンに住む アンの関係者
②-30 ロンドンで暮らす若い女性、エレナの親友 : アン・シェリダン
②-31 その婚約者の男性 : クリストファー・ワーウィック
c-4 「クレヴァレイ村」の関係者
②-40 ロシア人伯爵 (ロンドンで骨董品の店を経営している) : ドリアン・ラドヴィック
②-41-1 ドリアンの最初の妻 : ローザ(旧姓 : エヴァズレイ )
②-41-2a ドリアンの2番目の妻 : マージョリー(旧姓 : ウォーカー )
②-41-2b 棺の中身を確認しに立ち会って驚いた、マージョリーの姉 : ジェイン・クリフ
②-41-3 ドリアンの3番目の妻 アン・シェリダンの親友 : エレナ
②-42a ドリアンの長兄 : レヴ
②-42b ドリアンの次兄 : アアロン
②-41-2 ドリアンの最初の妻「ローザ」の伯母 : モード・シーモア
②-42a ラドヴィック家の使用人 : フレッド・アームブルースター
②-42b フレッドの妻 使用人 : アリス
②-43 鍛冶屋 : ポール(ピエール?)・プラット(登場人物欄には「ブラット」の表記)
②-44 牧師 : ロバート・キャンべル
②-45 1月くらい前に村にきたばかり、化粧品の販売代理人 : ヒューゴ・ニールセン
c-5 その他
②-50 本が大好きな、引退した文学教師 : テレンス・ヒル
(彼の自宅の間取りは、本作の中に図面として掲載されています)
②-51a 「クレヴァレイ村」の少女 : アリス・シャーウッド
②-51b 「クレヴァレイ村」の少年 : ベンジャミン
②-52 「クレヴァレイ村」の医者 : ピム
c-6 捜査陣 (本書に登場していなくても、書いている場合があります。)
②-90 ロイストン警察署 署長 : トマス・テイラー
②-91 同、警官 :
②-92 同、警官 :
②-92 ロンドン警視庁の検死医 :
②-97 ロンドン警視庁の警部(40がらみ、もじゃもじゃの眉と悪漢のような口髭だが、穏やかな性格の男) : ジョン・ウェデキンド
②-98 オーウェン・バーンズの親友で、本作のワトソン役 : アキレス・ストック
②-99 (名探偵) 美術評論家 セントジェイムズ・スクエアのアパートに住む : オーウェン・バーンズ
[D] 出版情報 (採番は㊿から)
㊿-1「吸血鬼の仮面(原題: 仏語 Le Masque du vampire) Kindle版」ポール・アルテ(Paul Halter)著 (平岡敦訳 電子書籍版 行舟文化)。ちなみに、英語原題は「The Mask of the Vampire」となっています。
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「吸血鬼の仮面 (「名探偵オーウェン・バーンズ」シリーズ 5) 単行本 – 2023/6/28」
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㊿-2 日本語翻訳本は、本年2023年6月付けの電子書籍版(いわゆる、ここではkindle版)で発売されたものです。訳者はアルテ氏のミステリーは変わらず「平岡敦」氏が担当されています。出版社の『行舟文化』さんの読み方は「ぎょうしゅうぶんか(gyoshubunka)」さんと推察しております。[X(旧ツィッター Twitter)のアカウント名から]。
順番 タイトル(原題 仏、英語) kindle有無
(1) ㊗️混沌の王 (Le Roi du désordre 英 : The Lord of Misrule) kinlde○
(2) ㊗️殺人七不思議 (Les Sept Merveilles du crime 英: The Seven Wonders of Crime) kindle○
(3) (⚠️未邦訳) (Les Douze Crimes d'Hercule 英: The Twelve Crimes of Hercules)
(4) ㊗️あやかしの裏通り(La Ruelle fantôme 英: The Phantom Passage) kindle○
(5) (⚠️未邦訳) (La Chambre d’Horus 英: The Chamber of Horus)
(6)(㊗️ 本記事) 吸血鬼の仮面(Le Masque du vampire 英: The Mask of the Vampire) kindle○
(7) ㊗️金時計 (La Montre en or 英: The Gold Watch) kindle○
(8) (⚠️未邦訳) (La mystére de la dame blanche 英: The White Lady)
㊿-3 著者「ポール・アルテ(Paul Halter)」氏は、フランスの本格ミステリー作家の1人です。とりわけ「ジョン・ディクスン・カー(John Dickson Carr)[またはカーター・ディクスン(Carter Dicson)名義]」の大ファンであることで知られています。そこからそのような『犯人が誰かというだけではなく、密室殺人も含めた不可思議な状況下での事件(不可能犯罪と呼ばれていることもある)と謎解き』という作風となり、2002年の『第四の扉』以来、3作連続『本格ミステリ・ベスト10』の1位に選ばれるなど日本のミステリー・ランキングでも有名な、また、人気の作家の1人です。
㊿-4 登場する探偵役には、2大探偵として、(1)「名探偵 アラン・ツイスト博士」、(2) 「美術評論家のアマチュア名探偵 オーウェン・バーンズ」がいます。 そして多分、(3) 「シリーズ物以外」に登場する他の名探偵たちもいることでしょう。
㊿-5 ツイスト博士もオーウェン・バーンズも両者とも主にイギリスで活躍しています。というのは、ツイスト博士は20世紀なかば頃を時代背景として『ロンドン警視庁 ハースト警部』と協力して事件解決にあたり、もう1人のオーウェン・バーンズも19世紀から20世紀へり移りかわりの頃を時代背景に、友人「アキレス・ストック」や『ロンドン警視庁 ウェデキンド警部』と共に事件の謎の解明にあたります。そこに著者のフランスの香りが加えられているだろうということで、もし2人をTVドラマ化したら、建物や衣装や車などはちがっているし、そういう状況下では、たとえ事件の謎や密室の構図は似てるとしても雰囲気はちがって見えると思われます。
今回はここまでで、続きは次回です!(別の作品になります)
ではまた!