「名探偵オーウェン・バーンズ シリーズ」の第1作が登場! ポール・アルテ著
[A] ネタバレなしの超ミニあらすじ〜多少、文章は時間軸も含めアレンジしております
① 雪降る湖畔にその影は踊っていた。黒いコートに帽子、そして鈴がシャンシャンとなって(『混沌の王』だっ!)。湖の氷が音をたて、冷たい風がピューと吹きすさぶ。アキレスは叫んだ! 『止まれっ!』と。突然、その影は走り始めた。もう一度アキレスは追いながら『岸に戻れ!』と叫ぶ。突然、その影は立ち止まり振り返る。風、雪、そして黒いコートの上の謎の白い仮面。アキレスは捕まえようと・・・。
② ある年のクリスマスが近づいた頃、芸術家志望の「アキレス・ストック」は友人で美術評論家「オーウェン・バーンズ」から奇妙な依頼を受ける。彼は探偵でもあったがちょうど忙しかった。それ依頼とは「サミュエル・ピゴット」の妹「キャサリン」の婚約者のふりをして「マンスフィールド家」の屋敷に入り込んで欲しいと。
③ ラシャ織物(毛織物の一種)商でロンドンに2店舗も持つ「マンスフィールド家」の主人「チャールズ」の大きな屋敷で話を聞いているうちにアキレスは、彼の再婚女性の息子(2人の娘「シビルとダフネ」の義理の兄にあたる)「エドウィン」の3年前の事件のことを知らされる。
④ それはクリスマス・イブの晩のことだった。エドウィンは義理の妹シビルのいる『作業場(現『ご婦人方の仕事場』)』にやってきたがやがて出て行った。深夜0時頃、家庭教師「ミス・ハーマン」は、満月に照らされた中庭を誰かが、屋敷の『小塔』に近づくのを見た。雪がちょうど降り始めていた。奇妙に思ってそのまま1時間ほど様子をみていたがやがて自室に戻る。だが、午前2時頃大きな音がして飛び起きた。
⑤ 小塔の先にはエドウィンの部屋。中庭にはシビルがいて何者かとももみあっている。やがて屋敷の主チャールズとサミュエル・ピゴットがエドウィンの部屋に向かう。だがシビルのもみ合っていた相手は消えてしまう(一体どこに?飛んだのか?)。エドウィンの部屋の窓の周りと中庭には雪が積もっていた。中庭にはシビルの足跡しかなかった。エドウィンの部屋の中はたいへんなことになっていた。
⑥ 時はうつり、現在の午後10:15過ぎ、居間の丸テーブルには8人が座っていた。チャールズ、シビルとダフネ姉妹、サミュエル・ピゴット、そのサミュエルの若き共同経営者「エドガー・フォーブス」、有名な霊媒師「ジュリアス・モーガンストーン教授」、ニコラスの妻「メアリ」、そして私「アキレス」。4本の脚がついたテーブルはしっかりとして安定していた。
⑦ 交霊会が始まった。そしてある人物に『湖で事件の真相を』明かそうと言っているらしい。そして、ちょうど、オーウェン・バーンズから村の方にやってくるという電報が届いて・・・。
[B] [ 本作の登場人物 レギュラー人はこの下の[C]を参照ください (採番は②のサブシークエンス)]
[本書の舞台は、最初にオーウェン・バーンズが登場したあと、ロンドン郊外にある村の近くで、長女の婚約でわく「チャールズ・マンスフィールド家」へ]
②-1 ラシャ織物商で屋敷の所有者 : チャールズ・マンスフィールド
②-2 その長女 : シビル
②-3 その次女 : ダフネ
②-4 シビルの婚約者となったチャールズの友人、ビジネスで成功を納めた裕福な仲買人(輸入などを取り扱っている) : サミュエル・ピゴット
②-5 サミュエルの妹 : キャサリン・ ピゴット
②-6 その共同経営者 : エドガー・フォーブス
②-7 サミュエル・ピゴットの共同経営者 : エドガー・フォーブス
②-8 同、使用人(御者などもする) : ニコラス・ダドリ
②-9 同、使用人(料理係で実質的な屋敷の管理と使用人のまとめ役)、ニコラスの妻 : メアリ
②-10 『交霊会』などを開いて霊と会話する、有名な霊媒師(交霊術師) : ジュリアス・モーガンストーン
②-11 チャールズが再婚したことによる義理の息子(シビルとダフネの義理の兄) だが、今から3年前に謎の事件に巻き込まれる : エドウィン
②-12 マンスフィールド家 の家庭教師 : ミス・ハーマン
②-13 シビルの元恋人 : ハリー・ニコルズ
②-14 オーウェン・バーンズがバラを送ろうと買った女性、アメリカ人女優 : ジェイン・ベイカー
[C] [ 主要登場人物 (ほぼレギュラー陣) (採番は③〜)]
本作ではオーウェン・バーンズは『セント・ジェイムズ・スクエア』近くのアパートに住んでいるとなっており、アキレス・ストックと2人で事件について話す時やお酒を飲んだり相談などをする時はアキレスがそこに出入りすることが多い。
③-1 人あたり良く、才気煥発にして、思想家・哲学者・詩人・作家・耽美主義者。そして、美術評論家であり、数ヶ月の間に名声を打ち立てた名探偵 : オーウェン・バーンズ(Owen Burns)。
③-2 その友人で芸術家を志している、本書の語り手 : アキレス・ストック(Achilles Stock)
③-3 (本作では)ロンドン警視庁(スコットランド・ヤード)の警部: ジョン・ウェデキンド
[D] 本作の情報
㊿-1 日本語翻訳本の本書は、本年2021年9月29日に発売されたばかりです(Kindle版も同様です)。
㊿-2 著者「ポール・アルテ(Paul Halter)」は、ここのブログの彼の本『第四の扉』の記事にも書きましたが、フランスの本格ミステリー作家の1人です。とりわけ「ジョン・ディクスン・カー(John Dickson Carr)[またはカーター・ディクスン(Carter Dicson)名義]」の大ファンであることからそのような『犯人が誰かというだけではなく、密室殺人も含めた不可思議な状況下での事件(不可能犯罪と呼ばれていることもある)と謎解き』という作風となり、2002年の『第四の扉』以来、3作連続『本格ミステリ・ベスト10』の1位に選ばれるなど日本のミステリー・ランキングでも有名な、また、人気の作家の1人です。本作の『オーウェン・バーンズ シリーズ』の他には『ツイスト博士(Dr. Twist)シリーズ』、『シリーズ外の作品(既に邦訳が出ているものでは『赤い霧』など )』などがあります。
㊿-3 本作は、毎年クリスマスに繰り返される悲劇とその時現れる『混沌の王』の謎に、主人公の探偵「オーウェン・バーンズ(Owen Burns)」とその友人であり語部「アキレス・ストック(Achilles Stock)」が立ち向かう、『オーウェン・バーンズ シリーズ』第一作にあたり、待望の邦訳ということで待ち遠しい一冊ではないでしょうか? 原題は「 Le Roi du desordre (英語原題 :The Lord of Misrule )」。また、同梱本は短編小冊子「怪狼フェンリル」(kindle版では短編小冊子「怪狼フェンリル」付き)とありますが、現在のところ個別にご確認ください。
[E] 出版情報 (採番は㊿から)
㊺「混沌の王 名探偵オーウェン・バーンズ シリーズ 単行本Kindle版 (原題 : Le Roi du desordre 英語原題 : The Lord of Misrule )」ポール・アルテ(Paul Halter)著 (行舟[ぎょうしゅう]文化 平岡敦 訳)。同梱本は短編小冊子「怪狼フェンリル」(kindle版では短編小冊子「怪狼フェンリル」は付かないと思われますので、別途ご確認ください)。
ではまた!