シェリー・ディクスン・カー ( J・D・カーの孫娘) 登場! ( デビュー作)
ベンジャミン・フランクリン賞の新人部門、ヤング・アダルト部門で金賞、ミステリー部門で銀賞を受賞
[A] ザ・リッパー 切り裂きジャックの秘密 (扶桑社ミステリー) 文庫 – 2015/8/2 〜 kindle(含Unlimited)版で読む (文庫版上下巻)
シェリー・ディクスン・カー(Shelly Dickson Carr)について
広告 ザ・リッパー 切り裂きジャックの秘密
(S-1) 本名は「ミシェル・メアリー・キャロル(Michelle Mary Karol)」。もう結婚していらして旧姓も「マクニーヴン」。シェリー・ディクスン・カーはペンネームです。すでに成長した3人の娘と夫(キャロルは夫の姓)とベケット(Becket)という名の犬を飼っており、現在はボストンのビーコン・ヒルに在住のもよう(Amazonの本の紹介文による)。ネットの情報によれば、彼女は現在マサチューセッツ州ボストンの「ビーコンヒル(Beacon Hill, a Boston)」に住んでいるようです。また彼女は英国のご存じBBCのTVドラマ「シャーロック(Sherlock、ベネディクト・カンバーバッチ主演)」やITV制作の「ダウントン・アビー(Downton Abbey)」のアメリカにおいての放送に尽力したと言われていますが詳細はわかりません。本作の中でも『主人公たち姉妹はボストンの高級住宅地ビーコン・ヒルで・・・』という文章が出てくる(第1部)。
(S-2) ジョン・ディクスン・カーとの関係はと言うと、彼の長女「ジュリア」の娘が、このミシェルさんにあたります。従って彼からみると孫むすめ、彼女から見てジョンはおじいちゃんであります。初めて読んだジョン・ディクスン・カーの著作は『爬虫類館の殺人(原題 : He Wouldn't Kill Patience)』(H・M卿シリーズの長編15作め、『青銅ランプの呪』の前作)だったそうです過去の1888年の事件は、歴史上実在した未解決事件「切り裂きジャック」を題材にしています(この事件はネットの情報によれば中々ひどい事件)。本に囲まれて育ち10才の時、上記の本をきっかけにミステリー小説が大好きになったけれど18才の時にはおじいちゃんジョン・ディクスン・カーは亡くなったようです。
(S-3) 上記のことを知って読んでいるせいか、文中に出てくる単語は(英語じゃなくて日本語だけど)、きっと「おじいちゃんの作品のオマージュが入っているのにちがいない」と思い読み出すと「一角獣(ユニコーンのこと、H・M卿シリーズの長編4作めに『一角獣の殺人(The Unicorn Murders』)」だとか「マダム・タッソーの蠟人形館(予審判事アンリ・バンコラン[H・B]シリーズの長編4作めに『蠟人形館の殺人(The Corpse in the Waxworks)』。舞台の中心となるのはロンドンで、これまたジョン・ディクスン・カーの世界がひろがっているムード満点なのだ(それどころ単語で言えば山のように出てくる?)。1888年の公爵の名前がゴドフリー、さらに事件担当のスコットランド・ヤード(ロンドン警視庁)警視の名前は「(姓が)ギデオン」になってたりします。
(S-4) この小説は(ハリー・ポッター・シリーズのイメージそのままに)男女3人組ペアーが、現代と1888年のロンドン(そこでは、切り裂きジャックの犯行がまさにはじまりつつある時)にタイムスリップしながら展開。現代では現在の映画や音楽や流行が語られ、1888年では「ヴィクトリア朝風の慣習」という環境下で、肩のこるような服を着る主人公「ケイティ(Katie)」が活躍する内容です。残る男性(男子)は「従兄弟のコリン」と「トビー・トバイアス」という布陣です。さらにケイテイの姉「コートニー(過去の世界ではベアトリクスという名前になる)」も登場します。
(S-5) ジョン・ディクスン・カー自身は、怪奇な空間でさんざん読者をミスリードして最後の最後「名探偵による犯人と謎の指摘」まで続いて誰が犯人なのか? どうやってその犯行は行なわれたのか? が謎のまま進むけっこう楽しい内容ですが、謎解きは『フェアプレイ』を親しかったEQと同じくちゃんと伏線を張ってるパターンが多です。ま、孫娘は孫娘、おじいちゃんとでは男女の違いがあり小説の文章展開も当然ちがってくるのですが、時々見せるそのスリルとサスペンスの盛り上げ方のスピードは中々すごくてDNA?と思わせるのです。
(S-6) シェリー・ディクスン・カーは本作によって、『ベンジャミン・フランクリン賞の新人部門、ヤング・アダルト部門で金賞』、『ミステリー部門で銀賞』を受賞(Amazonの本の紹介文による)。
[B] ネタバレなしの 超ミニあらすじ (関連するGoogleマップなどは「あらすじ」の後辺りにあります。多少、文章は時間軸も含めアレンジしておりますが)
(舞台 : ロンドン周辺、ただし現代と1888年の両方 )
Googleマップ : マダム・タッソー蝋人形館
①-1 1888年ヴィクトリア朝のロンドン周辺の、ウエストエンドの『ライシアム劇場(Lyceum Theatre)』では、劇場支配人「ブラム・ストーカー」氏があいさつして『(人気作家)ロバート・ルイス・スティーヴンスンの ジキル博士とハイド氏』の公演初日が始まった。馬車に揺られて劇場に来ていたのは「ケイティ(キヤサリン)」、公爵トワイフォード家令嬢「レディ・ベアトリクス」、ベアトリクスの弟「コリン」、コリンの付添人「トバイアス・トビー」たちである。ケイティにとって3人は名前は同じでも全くの別人、過去の人たちあるいは祖先の人たちだった。レディ・ベアトリクスは現在同居している祖母「クリーヴスおばあちゃん」の家にある絵画に描かれている人物らしく、さらに、姉「コートニー」に生写しだった。
①-2 そして劇場には、他に「H・P・ピンカー(親しい人たちからはスティンク・ピンク)牧師」、「作家 オスカー・ワイルド」、「プリンス・オブ・ウェールズ(皇太子)殿下 のちのエドワード7世」。そしてしばらくして『新聞売りの少年たち』が「(今で言う)号外!」と叫んで・・・そしてコリンはふと気がついた『誰か、銀色のオペラグラスを見なかったか?』、立ち上がった観客が拍手・・・舞台の幕がおりつつあった。そこへ「トワイフォード公爵」の馬車が到着。一方、遅れてやって来たスコットランド・ヤード(ロンドン警視庁)の犯罪捜査部警視 ギデオン・ブラウン少佐」は「レディ・ベアトリクス」の隣りに座った。彼は、レディ・ベアトリクスの父ゴドフリー・トワイフォード公爵からナイト爵または警視総監の立場を結婚の必須条件として要望されていた。
①-3「ギデオン・ブラウン少佐」と「レディ・ベアトリクス」たちを横目に見ながら彼女の弟「コリン」は気に食わないという顔をして「いやなやつだ」と言う。幕が降りて出てくる観劇の人たち相手の売り子も並びだす。その上、この時、劇場の外で大きな声が飛び交った。新聞売りの新聞を掲(かか)げて少年たちが叫んでいた・・・『ホワイトチャペルで殺人! 』。ケイティは「ハッ!」とした。新聞に目を通したブラウン少佐は巡査と一緒にすぐに出ていった。トビーも少佐についていった。ケイティは「あることの確認」をトビーに頼んだ。トビーは(何言ってるの?)という冷たい視線をケイティに投げただけだった。ピンカー牧師がブラウン少佐の代わりに「レディ・ベアトリクス」を送っていくことになった。ケイティは私がここに来たのは・・・と思いをぐっと胸にしまいこんだ。
①-4 なぜ、ケイティは1888年に来たか、だって? 「従兄弟のコリン」、「コリンの親友トビー」と一緒に3人でケイティは『マダム・タッソー蝋人形館』に遊びにきたのだ。そして、コンピュータ技術を駆使した『恐怖の部屋』でホログラム映像もしくは3Dに囲まれた『切り裂きジャック』関連の陳列を眺めた。・・・ケイティがその最奥部で『ロンドン・ストーン』に触れて1888年にやってきた時気がついた時にいた場所は『ある教会』の外壁に埋め込まれていた同ストーンのところだった。その時、彼女の名を呼ぶ声がした。20代の男2人「コリン」と「トバイアス・トビー」と後ろに立つ女性「ベアトリクス・トワイフォード」がいたのだった。一緒に来たのかと思ったが、居たのは1888年の彼らだった。ロンドン・ストーンは長い英国の歴史上、先史時代よりずいぶん前から存在していた謎に満ちた石と言われているが、どうやら、自分はこの時代にタイム・スリップしたようだと気づいた。問題は『マダム・タッソー蝋人形館』にあった犠牲者たちの1人が「レディ・ベアトリクス」・・・そう、自分の姉「コートニー」に激似の彼女。コリンとトビーがいるなら、彼女は「コートニー」に対応した祖先に違いなかった。ゆえに、彼らの協力を得つつ秘密裏に犯行を食い止め、「レディ・ベアトリクス」を救わねばならないのよ!ということだった。
①-5 濃霧の中、1台の四輪馬車がバックス・ロウへ入ってきた。乗っていたのは「ラルフ・ルウェリン医師」。眠っていたところを起こされてルウェリン医師はとても不機嫌だった。仕事は検死。発見され横たわった娘の死体を頭から調べていったが、彼はある重要な1点を見逃して検死を終えたと帰宅の道へと急いだ。こうして、連続殺人事件が始まった・・・。横たわっていたのは、その第1番目の被害者『メアリ・アン・ニコルズ』だった。そこからは・・・!
[C] 本作の主な登場人物 (書籍によっては、登場人物の名前に多少の違いがあることもあります) (採番②と③と④と⑤を分類上必要なら使う)
(a) 現代 主人公の周辺
②-1 主人公、 15才、1年後に高校卒業見込みのボストン出身で在住の少女、歴史小説を読むのが大好き : キャサリン(愛称 ケイティ)・レノックス
②-2 最近は家に帰ってこない、その姉、23才。バンド『メトロチックス』のリード・ヴォーカル担当 。実はボストンの名門校出身。 : コートニー
②-3 姉妹の2人が一緒に住む淡いブルーの眼と白髪の祖母 : クリーヴスおばあちゃん
②-4 ケイティの従兄弟、彼女を『マダム・タッソーの蝋人形館(ろうにんぎょうかん)』に連れて行く : コリン
②-5 コリンの友人で『マダム・タッソー』へ一緒に行く : トビー
②-6 交通事故で突然亡くなったキャサリンとコートニーの両親 : ?と?
②-7 コリンの母親 : プルーおばさん
(b) 過去 (1888年頃)
(b-1) ケイティの周辺の人たち
(名前が同じでも、彼らの祖先にあたる別人という設定です。もちろん最後は内緒だけど・・・)
③-1 3人で見に行った『マダム・タッソーの蝋人形館』の地下からなぜか『ロンドンストーン』に触れて1888年の過去にタイムスリップしてしまったケイティ。やむなく、名付け親のトワイフォード卿に会いにアメリカから来た富豪令嬢になっている : ケイティ
③-2 外見はコートニーにそっくりな公爵トワイフォード家令嬢 : レディ・ベアトリクス・トワイフォード
③-2-2 レディ・ベアトリクスの侍女 : アグネス
③-3 名前は同じでも中身はちょっとちがう、ベアトリクスの弟 : コリン
③-3-2 コリンの初老の従僕(じゅうぼく、召使いのこと) : ジェフリーズ
③-4 名前は同じでも中身は全然ちがう、コリンの付添人 : トバイアス・トビー
③-5 公爵、ケイティの名付け親 : ゴドフリー・トワイフォード卿
③-6 ベアトリクスとの結婚を望むがゴドフリー卿は大事件を解決してスコットランド・ヤードの副総監に出世するほどの者でなければ許さないと大反対された同ヤード犯罪捜査部の警視 : ギデオン・ブラウン少佐
③-7 トワイフォード卿の守衛小屋の番人 : ?
③-8 トワイフォード卿の馬車のずんぐり背の低い御者 : パーカー
③-9 レディ・ベアトリクスの馬車のやせて骸骨みたいな御者 : デクスター?
③-10 コリンがねらう、裕福なファージントン家の娘 : プルーデンス
(b-2) 実在の人物も登場する、事件当時の人たち
③-20 イーストエンド慈善伝導教会の牧師 : H・P・ピンカー
③-21 コリンの部屋にあるベアトリクスの肖像画を描いた画家 : ジェイムズ・ホイッスラー(歴史上実在の人物であれば、耽美主義の代表とされる、アメリカ出身だがロンドンで活躍した印象派の画家ジェームズ・マクニール・ホイッスラーがいる。代表作に『白のシンフォニー第1番-白の少女』、『青と金のノクターン-オールド・バターシー・ブリッジ』など)
③-22 作家 : オスカー・ワイルド(歴史上実在の人物、『ドリアン・グレイの肖像』などで知られる)
③-23 ウエストエンドのライシアム劇場(Lyceum Theatre)の劇場支配人で、のちに『ドラキュラ』を書いた作家 : ブラム・ストーカー(歴史上実在の人物、実際に大ヒット作になった)
③-23-2 ストーカー氏の夫人(オスカー・ワイルドの元恋人だった女優のフローレンス・アン・レモン・バルコムのことらしい) : フローレンス
③-23-2 青い制服、肩に金の紋章で、幕間に垂れ幕や看板などを持って知らせる劇場のベルギー人 : スティンク・ピンク
③-24 作家 : ロバート・ルイス・スティーヴンスン (歴史上実在の人物、『ジキル博士とハイド』などで知られる)
③-30 ウェールズ大公、 のちのエドワード7世(ヴィクトリア女王とその王配=女王の配偶者アルバート公子の長男 : プリンス・オブ・ウェールズ(皇太子)殿下
(b-3) 過去に登場する関係者たち
③-50 第1被害者の発見者、17才の男 : ジョージー・クロス
③-50-2 ジョージ・クロスの母親の従兄弟の義弟 : ジョニー・ブリスベーン
③-51 巫女(老女) : ミセス・トレイ(またはトレイラー)
③-52 ミュージック・ホールの踊り子 : セシリア
③-59 検死尋問の法廷で証言した、動物の泣きまね、腹話術が得意な鳥売りの娘 (ケイティは現在のマダム・タッソー蝋人形館で彼女を見たと記憶していて・・・) : ドーラ・ファウラー
③-60 りんご売り : モリー・ポッター
③-61 16才の少年 : トーマス・ハンティング
③-62 60才くらいの婦人 : ミセス・グリーン
(b-20) 事件の被害者とされる(予定の)女性たち (実在の事件の方ではなく、この小説の中での被害者ということになっております。ただ順序などは歴史上の事実を参考にしているそうです)
(著者による巻末のノートによれば、スコットランド・ヤードが公式に5人と発表したらしい。これは『カノニカル・ファイブ(canonical five)』と言われ、5件ある』以下の名前のところに[注スコヤ公式]と書いておきます)
(a. 第1の被害者の関係)
⑳-1 第1の被害者 : [注スコヤ公式] メアリ・アン・ニコルズ
⑳-1-2 メアリ・アン・ニコルズの恋人(印刷工場で働く印字工) : (通称マッド・)ウィリアム・メイクピース
⑳-1-3 メアリ・アン・ニコルズの父親、印刷工 : ジェフリー
⑳-1-3-2 その妻、つまりメアリ母親は鋳掛屋(いかけや、鍋や釜などを修理する人)の男と駆け落ちした : ?
(b. 第2の被害者の関係)
⑳-2 第2の被害者 : [注スコヤ公式] アニー・チャップマン(髪の毛の色から知人からはダーク・アニーと呼ばれていたらしい)
(c. 第3の被害者の関係)
⑳-3 第3の被害者 モリー・ポッター (③-60りんご売りと同じ?)
(d. 第4の被害者の関係)
⑳-4 第4の被害者 : [注スコヤ公式] キャサリン・エドウズ
(e. 第5の被害者の関係)
⑳-5 第5の被害者 : [注スコヤ公式] エリザベス・ストライド
(f. 第6の被害者の関係)
⑳-6 第6の被害者 : [注スコヤ公式] メアリ・ジャネット・ケリー
(g. 第7の被害者の関係)
⑳-7 モノマネと腹話術で鳥を売る仕事をしている。第7の被害者、第1の被害者メアリは殺される前に男(長身でやせてて、医者のよく持っているような黒い皮で真鍮の留め具のついたカバンを持っていて、顔は知ってたが名前は知らない男)と一緒だったと『検死審問会』で証言した女性 : ドーラ・ファウラー
(h. 第8の被害者の関係)
⑳-1 第8の被害者(ドーセット・ストリートのミラーズ・コート) : レディ・ベアトリクス・トワイフォード
(b-4) 本件の捜査関係者
④-1 ホワイトチャペル管区の太った巡査 : ニール
④-2 巡査 : ジャーヴィス
④-3 第1事件現場にやって来た事件担当巡査部長 : メリマン
④-10 第1の被害者の死体検案をしたモルグの監察医 : ドクター・ラルフ・ルウェリン
④-11 モルグにいた巡査部長 : マッケンジー
④-91 捜査の陣頭指揮をとる刑事 : スコットランド・ヤード(ロンドン警視庁)の犯罪捜査部警視 ギデオン・ブラウン少佐。
④-92 名探偵役としては主人公たち(未来に起きることはわかっているので、どっちかというと犯人逮捕や被害者が1人きりにならないよう犯行を邪魔することが目的) : (1888年)現在から『ロンドン・ストーン』で過去にいった「ケイティ」。最初は半信半疑ながら「レディ・ベアトリクス」を守るためにもといわれて協力する、ギデオン・ブラウン少佐に使われて捜査の仕事にも加わり将来はスコットランド・ヤードに入りたいと考えている「トビー」。そしてレディ・ベアトリクスの弟で「トビー」と仲良しの「コリン」の3人。
④-93 本作の語り部(ワトソン役) : (著者と)ケイティ(1人称「わたし」ではなく「ケイティは・・・」と表記される場合が多い)。
[D] 余談ですが、用語集 (画像は全てPixabayからです)
⑦-1 ラヴァランプ(Lava Lamp) : Lavaは溶岩の意で「溶岩ランプ」とも言うらしい。 2種類の反発する液体(水と油に類するもの)のせいで浮かんだり落ちたりを繰り返す電灯のこと。
⑦-2 ウエストエンドのライシアム劇場〜 Lyceum Theatre : のちに『ドラキュラ』を書いて大ヒットとなった「ブラム・ストーカー」が実際に劇場支配人をしていたのだそうです。ここは、コナン・ドイルの小説「(シャーロック・ホームズ)四つの署名」 の中で、ショルトーと(後にワトソンの妻となる女性)メアリーが待ち合わせをした『左より三本目の円柱のあるライシアム劇場外』場所として有名だそうです。
⑦-3 『ロンドン・ストーン』 : 下巻の巻末にある筆者自身の説明によれば「実在する石」で現在は「キャノン・ストリート111」の道路脇の壁の窪みに収められているそうです。アーサー王の伝説に出てくる『聖剣 エクスカリバー』を引き抜いた石と言われてもいるそうです。
⑦-3 ジョン・ディクスン・カーの初期の名作、アンリ・バンコラン(H・B)シリーズの『絞首台の謎(The Lost Gallows )』の時の記事では、登場人物に以下のように書いてます。[ ジャックとしては有名な『切り裂きジャック』は本作には出ていません。1888年、ロンドンのホワイトチャペル周辺で起きた連続殺人事件の犯人とされている。当時捜査したのは『スコットランドヤード(ロンドン警視庁)』。別名「ホワイトチャペルの殺人鬼(Whitechapel Murderer)」や「レザー・エプロン(Leather Apron、革のエプロン)」 といわれた。] その容疑者の主な呼び名は ジャック・ザ・リッパー(Jack the Ripper)ですが、まだ未解決事件だそうですし現在でも犯人は「医者」だとか「女性」だとかいろいろあるようです。事件はとてもこわいので私はあまりふれずにします。
[E] 本作について (採番は⑥〜)
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⑥-1 原題は「Ripped(19)」。著者は「シェリー・ディクスン・カーShelly Dickson Carr」。上巻の巻頭には『献辞』として「スティーヴン・エドワード・キャロルに・・・をこめて」と書かれています。
⑥-2 概して、彼女の祖父ジョン・ディクスン・カー(John Dickson Carr、別名義カーター・ディクスン Carter Dickson)の作風としては、「犯人は誰か?」だけでなく、『どうやってそれを成し遂げたか?』というところを、この孫娘もちゃんと踏襲しているように感じます。さらに時代を超えて・・・というのは最近の流行りの1つです。
⑥-3 下巻の巻末には、「好事家のためのノート」、「ロンドン・ストーン」、「切り裂きジャックの正体」、「謝辞」が記されています。本書との深い関係のあること(ネタバレになるかもしれないのでこれ以上は書きませんが、そして特に書かれていないのですが「謝辞」の内容は筆者自身によるものとわかりますので、すべて訳者ではなくて筆者「シェリー・ディクスン・カー」が書いたもののようです)。「謝辞」の中では「ジュリアとリチャード・マクニールン(両親)」、「クラリス・クリーヴス・カー(祖母、つまりジョン・ディクスン・カーの妻)」、またTVドラマ『SHERLOCK/シャーロック』と『ダウントン・アビー』のアメリカ放送に寄与した人たちについても触れられています。
⑥-4 歴史上の実在の人物が登場します。1888年のロンドン周辺にいた「ライシアム劇場支配人で後に作家 ブラム・ストーカー」、「作家 オスカー・ワイルド」、「画家 ジェイムズ・ホイッスラー」らです。他にもでていらっしゃる方がいるかもしれませんがつかめていません(ぬけていたらごめんなさい)。
⑥-5 『ロンドン・ストーン』も実在し、ネットなどでロンドン周辺の観光で出てきます。また、現在の映画(ハリー・ポッターシリーズなど)や作家(J・K・ローリングなど)、音楽(レディ・ガガなど)のことも出てきます。
⑥-6 祖父にあたるジョン・ディクスン・カーの小説でもお馴染みですが、作家「エドガー・アラン・ポー」、「サー・アーサー・コナン・ドイル」らの話も出てきます。
⑥-7 「ザ・リッパー 切り裂きジャックの秘密(Ripped) 文庫(上下巻)版 Kindle版」、シェリー・ディクスン・カー(Serry Dickson Carr)著 (扶桑社 駒月雅子訳)。
以上です
続きは次回です!。では!