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広告 reading(読書) ジョン・ディクスン・カー ノン・シリーズ物 海外本格ミステリー(古典)

皇帝のかぎ煙草入れ ジョン・ディクスン・カー著 ノン・シリーズ物 1 海外本格ミステリー小説(古典)

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疑惑の影 〜 ジョン・ディクスン・カー著  フェル博士(1 8)

[A] ネタバレなしの超ミニあらすじ〜多少、文章は時間軸も含めアレンジしております 「Kindle (含むUnlimited)」で読むJDC   ノン・シリーズ物 1

(本作の舞台) フランス、避暑地ラ・バンドレットのアンジェ街にある、2軒の家の周辺 。 (英米で建物の階数の呼び方は少しちがいますが、舞台はフランスです)

①-1 女性のほおを風がなでていった後に「もう少しこちらに・・・」とささやいた。相手の影は黙っていた。ちょうどそこを訪れる予定でやってきたある人物はそれと気づいて来た道をひきかえした。

本作の舞台のイメージ図

①-2 イギリス海峡に面して砂浜が細紐のように続く海水浴場「ラ・バンドレット」。カジノの近くにドンジョンという大きなホテル。つまりは英米の人たちがお金を落としていく避暑地。遠くの大灯台の光がさっと夜空を旋回した。カジノを折れてアンジェ街に入って歩くと、離婚訴訟で別れた夫ネッド・アトウッドと一緒に暮らしていたイーヴの家『ミラマール荘』。そして通りをはさんでその真向かいにあるのが、ローズ家の『ボンヌール荘』だった。

①-3 その日、モーリス卿はいつもように散歩に出たが行き先はホテルと動物園だった。その卿を残して「ローズ一家とイーヴ」は劇を見に行く。それからアルプ街の美術商ヴェイユが「皇帝の嗅ぎ煙草入れ」を卿に持参。卿はいつものようにカーテンを閉めず開けたまま品物を楽しむ。夜の11:00頃観劇の人たちはそろって戻ってくる。婚約者トビーは車でイーヴの家まで送った後自宅に入る。その時、ローズ家の2階の書斎の電気はまだ灯(つ)いていた。

①-4 何か近くで事件があったらしく、外で警官たちが騒ぎ出す前にと、イーヴが少し前に手を出すと、それが元夫ネッド・アトウッドに当たったのか、彼は階段で宙を踊って落ち鼻血を出したが(大丈夫だ!)というように外へ出た。彼女も彼を押し出すように一緒に出た。その時背後で何かが閉まる音がした(えっ?) ここを開けるには3階にいる女中のイヴェット・ラトゥールに頼むか・・・ (彼女はどうして私に対してあんなに・・・? そう言えば彼女の妹プリューはアルプ街の美術商ヴェイユのすぐ近くに・・・ビジネスの才覚があるのかしら・・・)。

①-5 イーヴはいくつかの紡績工場やその他の資産を父から受け継いで非常に裕福であったが、離婚の精神的疲労と脱力感で夏が近づいてもホテルやカジノのあたりに近づきたくなかった。そのかわりに、時にゴルフ場に気分転換に出かけた彼女は、そこで1人の男性トビー・ローズと出会う。彼はおおよそネッドとはおおちがいの誠実な男らしく『フックソン銀行ラ・バンドレット支店』幹部行員であった。しかも向かいの家モーリス家の人だったのだ。2人の交際が始まった。

①-6 家に戻ってから洗い物をしたりしていたイーヴのところに、トビーと妹ジャニスが家にすぐ来てほしいと迎えにくる。モーリス家に行くと、いつものようにパイプをふかしているベン伯父が彼の妹でモーリス卿夫人のヘレナを慰めている感じ。(うん?) イーヴはさっきの警官の呼子(よびこ、笛)の音を思い出した。(何かあったのかしら?) いつもカーテンを閉めずに2階の書斎にいるモーリス卿の所作を思い出した。(だって私の寝室から丸・・・ゴホンッ! でもさっきは私の横に『あの男』が! 教えてくれなかったけど彼が見たのは誰だったのかしら? 茶色の・・・?)。

(上図の一部拡大)夫ネッド・アトウッドと一緒に暮らしていたイーヴの家『ミラマール荘』。
そして通りをはさんでその真向かいにあるローズ家の『ボンヌール荘』のイメージ図

①-7 やがて屋敷には、ラ・バンドレットの警察署長アリスティード・ゴロンとその友人精神科医ダーモット・キンロスも来ていることがわかった。少し前・・・観劇の後らしい。各自部屋に戻ったモーリス一家。ベッドに入っていたヘレナ夫人も、やがてモーリス卿に「もうそろそろ寝る時間よ」と伝えるために書斎のドアをあける。左手に見える壁の「(陳列用の)ガラス張りのキャビネット」と暖炉のマントルピース。ドアとの間にある電灯のスイッチを押せば1つは天井で輝くシャンデリア、そしてもう1つはモーリス卿のデスクの上の緑色のラープシェードのついたテーブル・ライトに。少し暗かった・・・夫人はさらに一歩近づいた・・・そしてデスクの上の拡大鏡・・・(キャーッ!!)。

[B] 本作の主な登場人物  (書籍によっては、登場人物の名前に多少の違いがあることもあります)  (採番②と③)    名前がわからない時は(?)です。

以下、おおまかな登場シーン別くらいにグループ分しておりますが、あまり深い意味はありません

(フランスは避暑地ラ・バンドレットの、アンジェ街にある『ミラマール荘』に住むイーヴの関係者)

②-1 ランカシャーにあるいくつかの紡績工場やその他の資産を父から受け継いで非常に裕福だが、離婚して独身の女性(ほっそりしていて灰色の目、明るい栗色の長い髪、ギリシャ神話に出てくる魔女キルケーを思わせるような美女) : イーヴ・ニール

②-2 若さと魅力を兼ね備えたブルーの瞳をもつ美貌(びぼう)のすでに30代半を過ぎているが、ある女性が原因で離婚したが、いまだに未練たっぷりのイーヴの元夫 : ネッド・アトウッド

(同じくアンジェ街にあって、イーヴの家の向かい白とピンクの石造家屋『ボンヌール荘』に住むローズ家の人々とその関係者)

②-3  ローズ家の当主で、ボンヌール荘の2階の書斎で、いつも窓のカーテンを開けっ放しにして拡大鏡で楽しんでいる骨董品の収集家  : モーリス・ローズ卿

②-4 その妻で元気もまだまだ元気の良い夫人 : ヘレナ

②-5 いつもパイプをふかしている、ヘレナ夫人の兄(トビーの伯父) : ベンジャミン(ベン)・フィリップス

②-6 23才とまだ若く赤毛のトビーの妹 : ジャニス

②-7 ゴルフ場でイーヴと出会った、イギリス最古の歴史を誇る『フックソン銀行ラ・バンドレット支店』の幹部行員 : トビー(ホレーショ)・ローズ

(その他のイーヴの関係者)

②-6 『ミラマール荘』の3階に住み込みの最近雇い入れたばかりの女中 : イヴェット・ラトゥール

②-6 料理女 :  セレスティーヌ・ブーシェル

(その他の関係者)

②-70 イヴェットの妹で、海岸に近い新開地のアルプ街17番地の『エデンの園』の経営者の若き女性 :  マドモアゼル・プリュー

②-71  モーリス卿に『皇帝の嗅ぎ煙草入れ』を見せたアルプ街の古美術商 : ヴェイユ    

②-72  アルプ街17番地までイーヴを乗せたタクシーの運転手 :  マルセル(おやじ)

②-73  馬車の馭者(ぎょしゃ) : ?

②-74  ドンジョン・ホテルの専任医師 : ブーテ

②-75  同、看護師 : ?

(以下、捜査関係者)

②-90  サロモン・エ・コーエン法律事務所の弁護士  : ピエール・サロモン 

④-96 事件現場に急行した巡査 : ?

④-97 予審判事 : ヴォトゥール

④-98 ダーモット・キンロスとは親しい間柄のラ・バンドレットの警察署長 : アリスティード・ゴロン

④-99 (本作の名探偵役) 精神科医 : ダーモット・キンロス

[C] 本作について

⑥-1 本作は、人気とトリックの面白さと真犯人の意外性で、昔からジョン・ディクスン・カーの作品の中でもかなりの上位に選ばれることが多いです。舞台が米英ではなくフランスということもありますが、いろいろな面白い要素がたくさん散りばめてあって、いつものように会話もなかなかシャレてます。またたいていの場合、彼の小説では「ロマンティック」というのが1つの要素になってますが、、今回はそれ自身が1つの謎に結びついております。なお、本文中に出てくる「魔女(または妖女)キルケー」はギリシャ神話に登場する「(美女なのでしょうが)魔法または薬で相手を動物に変えてしまって自分に従わせるような感じの)魔女」だそうで

⑥-2 本作は、フェル博士のシリーズでも、H・M卿シリーズでもない単独の、つまりノン・シリーズ物です。巻末には『中島河太郎の解説』がありジョン・ディクスン・カーの紹介についてのかんたんな解説もついています。

⑥-3 原題は「The Emperor's Snuff-Box」。ちなみに『皇帝』は、ご存知、フランス第一帝政の初代皇帝「ナポレオン1世」に即位した「ナポレオン・ボナパルト(Napoléon Bonaparte)」のこと。この小説の舞台もフランスとなっています。「嗅ぎ煙草」はナポレオンが愛用していたとの説があります。「嗅ぎ煙草」とは「たばこの葉を粉末状にして、鼻から吸引するか、小袋に入れて唇と歯ぐきの間に入れるかなどの吸い方であり、一説によれば持続時間が1時間程度あることから一時期大流行したもの」だそうで、それゆえその「たばこの葉を粉末状にしたもの」を入れておくケースが『嗅ぎ煙草入れ』で、ナポレオンはそれをよく持参し愛用していた上、女性への贈り物や部下への論功行賞の褒美として、いくつか特注のものを贈呈していたことで有名らしいです。

⑥-4 「皇帝のかぎ煙草入れ(The Emperor's Snuff-Box) Kindle版」、ジョン・ディクスン・カー(John Dickson Carr)著 (グーテンベルグ21 宇野利泰訳) 。ちなみに、「グーテンベルグ21」はデジタル書店。

[D] (参考)フェル博士やH・M卿シリーズ、ノン・シリーズについて

⑦-1 ジョン・ディクスン・カー(John Dickson Carr)」の人気作品には、いろいろな主人公(探偵役)が登場します。「アンリ・バンコラン(Henri Bencolin)予審判事」、「ギディオン・フェル(Gideon Fell)博士」、「警視総監直属D3課長マーチ大佐(Colonel March)、主に短編で登場」などです。事件が不可能犯罪や密室の場合は、時に「誰がやったか?」よりも「どのようにしてそれらがなされたか?」に重点が置かれる場合があります。

⑦-2 一方、別名義のカーター・ディクスン(Carter Dickson)で発表した作品では、「通称H・Mこと、ヘンリー・メリヴェール卿(Sir Henry Merrivale)」が主に活躍し、その彼が登場する長編第1作目は「プレーグ・コートの殺人(The Plague Court Murders)」ですが、こちらも人気の主人公です。このHMが主人公の場合も、フェル博士登場と同様に、事件が不可能犯罪や密室の場合は、時に「誰がやったか?」よりも「どのようにしてそれらがなされたか?」に重点が置かれる場合があります。

⑦-3 現在、このブログでは、『フェル博士』や『H・M卿』の作品の記事をまず順に続けております。その時点で「Kindle (含むUnlimited)」の本が出ていないなどの事情があれば、記事の枠だけ作ってスキップして次の作品に進み、後でKindle版が出てきた場合は、順番は後になりますが、いつか記事にする予定ではいます。別途、その際に新訳本などがあればそちらを読むこともあるかもしれません。さらには本作のように他の人が活躍するような独立した作品『ノン・シリーズ』としてのものも取り上げる場合もございます。

A済

ではまた!

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